第2話 エルフって意外に鈍感だよね
元・社畜の
あの神様ほんとに遠慮を知らないなぁ。
目が覚めると、そこには広い大草原が広がっていた。
よしよし、新しい生活の始まりには丁度いい場所だ。
こっちに来る直前に、この世界について簡単に教えてもらった。
この世界の大元となっている仕組みには魔力が関わっていてその魔力を使って魔法やスキルを使うという。
要は魔力が大事だということ。
冒険者ギルドで登録を行えば自身のステータスも確認できるという。
「ていうか.....ここってどこ?」
今更だが、ここは一体どこらへんなんだろうか。
辺りにはいくつか道らしきものも見当たる。
そういえば、エルフって直感とか危機察知能力が高いイメージがあるけど....
それって本当なのだろうか?
「まぁ、とりあえず行けばわかるか....」
エルフの勘?を信じ、いくつかある道の一つを進むことに決めた。
進み始めて1時間半....
「本当にこっちで合ってるのか.....」
一向に街のような場所は見えない。
むしろ森の奥に迷い込んでいる気がする.....
(後ろから何かが近づいてきている)
(しかし、僕はまだ気づいていない)
「ん...?何か音がしたような....」
今、カサカサっという音が聞こえた。
なんだろうか?
後ろに大きな気配がする。
「これは.......
気がつくと、全速力で逃げていた。
全長約3メートルほどある
「はぁ...はぁ...」
息切れを起こしながら命からがら逃げてきたわけだが.....
<エルフの勘、当てにならねぇ....>
おっと、つい本音が...
「でも、だいぶ奥まで逃げてきたけど街って一体どこ?」
すると、わずかだが人の声が聞こえてきた気がした。
「へい、安いよ!安いよ!」
「これにしようかしら.」
声が聞こえた方向に進んでいくと街らしき建物が多く建っていた。
(ここが街か....)
その街は行き交う人で溢れていて道の左右には色々な店が並んでいた。
僕は木の陰から覗く形で街の方を眺めていた。
(どうしよう....このまま行っていいのだろうか?)
色々な考えが頭を巡った結果、街に行くことにした。
運が良ければ今日泊まる宿を見つけることができるかもしれないと考えたからである
「しっかし...結構賑わってるな...」
街には露店も多くあり、どこか特別な雰囲気が感じられた。
「そこの嬢ちゃん!」
「ひゃっ!」
不意に話しかけられたせいで間抜けな声が飛び出てしまった。
「そんなに驚きなさんな、お嬢ちゃんはこの街初めてかい?」
「はい...さっき来たばっかりなので....」
広い意味でさっき
「どこから来たんだい?」
「えっと....西の方から...です」
すると、店の店主は
「西って....まさか
「ウェスタント?それってなんですか?」
すると、「悪いがあっちに行って欲しい」と厄介払いされた。
ウェスタント?一体何のことやらさっぱりだ。
「冒険者の施設は.....」
しばらく街を歩いていると
「ここなんだろうか?」
入口には看板がぶら下げてあるだけで名前などは一切書かれていない。
「ごめんください....」
思い切って扉を開けてみるとそこは広い部屋が広がっていた。
奥には机と椅子が並べられておりいくつもの人が
「では、依頼は以上で完了となります,お疲れ様でした」
受付として区切られた一角では冒険者と受付嬢とのやり取りが行われていた。
ここが冒険者ギルドで間違いなさそうだ。
だけど.....登録って簡単にできるのかな.
「あのぉ....」
「こんにちは!本日はどのようなご要件で?」
素直に冒険者登録をしに来たと伝えるべきなのか....
うーん....
「えっと...ここって冒険者ギルドですか?」
そう尋ねると受付の女性は少し微笑んだ。
「そうですね、当ギルドでは冒険者様の依頼の
「本日は冒険者登録のご要件で間違いないでしょうか?」
登録をしに来た旨を伝えると僕は別室に案内された。
<冒険者ギルド内:
「それでは、まず登録を行う前に貴方のステータスを測らせていただきますね」
「この
目の前に出された
これに手を乗せると自身のステータスを確認することができるという。
「これでいいんですか?」
言われた通りに手を乗せると目の前に薄っすらと文字が浮かび上がってきた。
だんだんはっきりと文字が濃く現れる。
|ノア・レスティア|
<Lv.>
|1000|
<性別>
|女|
<種族>
|エルフ|
<魔法属性>
|火・水・氷・風・雷・精霊|
<スキル>
|魔法異常耐性|
|
|万能鑑定|
|
|魔動念力|
|
|
|
|
|
|
<加護>
|暴竜の守護|
|法術因子|
|
|
<称号>
|無名の王|
|統治者|
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これ、壊れてるんじゃないですか?」
「レベル1000って明らかにおかしくないですか.....」
そう言うと受付の女性は自分側にステータスを表示した。
「確かに.....レベル表示は1000ですね....」
女性の目の前にはさっき自分が見たステータスが表示されている。
「
「じゃぁ、このステータスは.....」
レベル1000.....どうすればこんなレベルになるのだろうか?
「正しいということになりますね」
「このまま登録作業を進めますが良いでしょうか?」
レベル1000が事実としてギルドに登録されることとなった。
「では、以上で登録は終わりとなります。」
「貴方様の今後の活躍をギルド職員一同応援しております!」
よくわからない応援をされてしまった。
登録作業を終えると四角いカードを渡された。
「こちらは当ギルドの証明書となっており、宿料金の無償化や他ギルドへの登録の際に必要ですのでなくさないようにしてくださいね?」
「万が一、紛失された場合は発行元のギルドで再発行できますが手数料がかかりますのでお忘れなく..」
何はともあれ、無事に冒険者になることができたということだ。
これから冒険とかしちゃうのかなぁ。
僕が妄想を膨らませていると奥のテーブルで話し声が聞こえてきた。
「いいか?このモンスターはそこまで強くない,俺たちでも
テーブル席で話し合っているのは4人グループの男女。
「しかし....念には念を....」
神官職であろう男が場をなだめる。
「ニールの言うとおりよ,レン、あんただけ突っ走り過ぎなのよ!」
「もうちょっとパーティー全体を考えて発言してくれないと....」
双子の少女が交互に意見を出す。
片方は髪を肩まで伸ばしている大人しそうな少女。
もう片方は髪を頭の後ろで結んでおり、見るからに気が強そうである。
「はぁ....こんな時にティラガがいてくれたら良かったのになぁ」
髪を結んでいる双子の少女が言葉を漏らす。
「/////!」
どうやら無粋な発言だったらしい。
レンと呼ばれた少年は頬を赤く染め走ってギルドの外へ走って行ってしまった。
次回:「ゴブリン退治」
転生エルフは異世界ファンタジーを謳歌する。 黒川宮音 @kurokawa_miyane
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。転生エルフは異世界ファンタジーを謳歌する。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます