転生エルフは異世界ファンタジーを謳歌する。
黒川宮音
第1話 神様は遠慮を知らない。
この僕、上野 和美は24歳(独身)のOLである。
突然だが、みんなは異世界を信じるだろうか?
高校時代、オタク活動に勤しんでいた僕からするとそれは<YES>一択だ。
異世界というものがあるならばぜひとも見てみたい。
しかし、今の僕は立派な社畜。
大学卒業後はそこそこ大きい企業に就職しそこそこな人生ライフを送っていた。
なぜ、ここまでそこそこな人生になってしまったのか......
それは......
「ここは....?」
気がつくと僕は真っ白な空間に一人佇んでいた。
<気がつくと>というのは正確には違う。
僕はこの世での生を終えた....。
つまりは死んだってことになる。
なぜこんなにも悠長に構えられるかと言うと、この結果は目に見えていたからだ。
労働に日々勤しみ持てる時間を最大限に使う。
気がついた頃には社畜と成り果てていた。
そして、体の悲鳴に気づかず、24歳(独身)という、そこそこな人生に幕を閉じてしまったわけだが....
「なにもないな....」
真っ白な空間が広がっているだけでそこには見慣れたパソコンやゲーム機(ゲームもかなりやっていた。)など当然ながら何もない。
ただ真っ白な空間があるのみ。
「こういう系は神様とかがスタンバってるものだとばかり」
「すみませ〜ん!!」
「遅れちゃいました!」
慌てた様子で現れたのは白いふわふわとした球体。
「はいっ??」
白い球体が言葉を話している。
「なにこれ?」
そう言い放つと白いふわふわした球体は動きふためいた。
「私は神様ですよぉ!」
「か・み・さ・ま!」
神?この眼の前の物体が偉大な神?
「死んでまで冗談は聞きたくないのですが」
「嘘じゃありませんって!」
眼前の「自称:神」と名乗る白い球体は何やら光を放っていた。
「怒ってるんですか?」
「そりゃぁ、怒りたくもなりますよ....」
心のうちに罪悪感が芽生えてしまった。
すると次の瞬間、眼の前が眩しさに覆われた。
「はぁ、全く。今までたくさんの
「まさか神様だと思われないなんて...」
景色がさっきまでとは打って変わり、辺りには箱庭のような景色が広がっていた。
「あの....此処は一体?」
「ここですか?ここは
シンビナシーリビズン??
頭がこんがらがっている。
ここは話に聞く地獄でも天国でもない。
海外のような景色にとても似ているだろうか。
「あなた方、
「現世で罪を持った者はもう一度現世で罪滅ぼしを、得を詰んだ者は来世で優雅に..」
信じられないことが連続で起きてツッコむのを忘れていたが、今目の前で話しているきれいな女性は誰だろう?
「そうですか.....ところで貴方は?」
「私....?今さっき会ったばかりじゃないですか!」
戸惑いながら訴えかける彼女の様子は、ついさっき自称:神と名乗っていた球体にどこか似ている気がする。
「まさか.....本気で覚えてないわけじゃありませんよね?」
「そんなわけないじゃないですか.....多分...」
考えを巡らせた結果、一つの可能性へとたどり着いた。
目の前の美女が自称:神と名乗っていた白い球体と同一人物かもしれないということ。
「まぁ、良いでしょう。自己紹介もまだでしたし....」
「私は貴方の住む
神?これが神?
デジャブなのか?
さっきも同じような反応をした気がした。
「仮にあなたが神様だったとして私にどうしろと言うんですか?」
「また、一から生まれ直せとでも?」
そんなのゴメンだ。
もう仕事は面倒だ、働きたくない。
仕事の無い世界に生まれて自由な生活が送れたらどんなに幸せなことか..
「できますよ?転生」
「えっ?転生?」
その単語で僕の全身のあらゆるオタク細胞が覚醒したのだった。
転生するなら魔法がある世界が良いな。
健康で長生きができる種族....例えばエルフとか。
万能魔力にチートスキル....
「あのぉ.......夢中になってるところ申し訳ないんですが、それを全部叶えようと思ったら莫大な得を詰んでないと...ほとんど無理といいますか...」
「はい?」
「その人が生きている間にいくら得を詰んだが重要でして....」
神様は申し訳無さそうに近くに寄ってきた。
「貴方は若くして亡くなられたということで...これから積む予定だった得が全て
消えてしまったんですよね......」
「ちなみにどのくらいの得を私は失ったんですか?」
そういうことは早く話して欲しいものだ。
私が尋ねると神様は更に申し訳無さそうな表情をした。
「一般的な得の総数が10ぐらいで貴方はそれの100倍を失っていますね」
「あ..でもその分、貴方の要望は全て叶えれると思うのでなんでも言ってください!」
何そのカスタマーセンターぐらい親切な対応....
「えぇ〜じゃぁまず、転生先は異世界の魔法があるところが良いです」
「それと、種族はエルフで....」
そこから2時間ほど神様と転生について話し合った。
「では、以上でよろしいですか?」
「はい、そのようにお願いします」
自分でも思うが、流石に遠慮を知らないな...
自分の思った望みを頭にあるだけ入れてもらったのだ。
本当に大丈夫なのだろうか....
僕もそうだが、言ったことをそのまま叶えてくれる
何にせよ、これから私の第二の人生が始まるわけだ。
異世界かぁ....楽しみだなぁ。
「では、貴方が来世を快く生きてくださることを願っております」
「あちらの神にもお伝え下さい」
あちらの神?
異世界にも神様がいるのだろうか。
次の瞬間、目の前は暗闇に包みこまれたのだった。
次回:エルフって以外に鈍感だよね
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