第5話 完結
「来たか、9人。さあ、終わらせよう。この茶番劇の世界を」
仮想空間の学校の屋上に、あいうえおかららりるれろまでが揃う。その表情は真剣で、みな一様にワヲンを見つめている。
「...本当におわらせるのか」
「当たり前だ。ここで全員死を迎える。現実の我々はみな女。生命維持装置で延命し、仮想世界にて下らない群像劇を続けても何の意味も無い!」
「いずれ滅びるから何だ。そんなものは皆一緒だ。だったら俺は...最後の瞬間まで躍り続けるんだぜ。この星に存在した全ての生命体がそうであったようにだぜ。ワヲン!!どんなに狂っていておかしい世界でも俺は諦めないんだぜ!それがあんたにとって狂った正論だって言うなら、俺たちがそうは思わせないんだぜ!」
「ああ。そうであって欲しいものだな。何回やった?このロールプレイ。1000回辺りから数えるのも面倒になった。私たちの思考速度は最新技術によって加速度的に早くなっている。だから、体感としての私たちの寿命は1000年すら優に越える。だが、その長寿とは虚無。未来へと繋ぐ命すら無いならば、何故私たちは生きている?」
「自分自身の存在そのものこそが生きる理由だ。それが人間という生き物の到達点であり結論だ。...キミは優しいね」
「何が?」
「生命維持装置の停止に、僕らに議論を持ちかけてくれている」
「そうでなければロックを解除できないから」
「それでもだよ。それでもだ」
「...」
「始めようか」
そして、我々は闘った。
その後の人類の行く末は、誰かが知っているのかも知れない。
おしまい。
ノリバト ~ノリと勢いで進行するバトルもの小説~ 芽福 @bloomingmebuku
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