ソシャゲーのチュートリアルボスに転生したけど、原作知識でリアルイベント限定配布の最強URキャラをゲットして原作主人公を倒して原作シナリオから逸脱します!
第5話 主人公より先にヒロインに出会ってこそ『悪役転生』
第5話 主人公より先にヒロインに出会ってこそ『悪役転生』
目の前で睨みあうは、女二人。
「どういうことなの説明して!」
「ふん。もはやお前のような愛玩人形はお払い箱ということだよ」
「あんたには聞いてない!ジョン!どういうこと」
ふてぶてしい態度のアーキバスと、険しい顔をするアマラウ。俺は目的だったアーキバスを手にして、アマラウの部屋に連れて帰ってきた。そう、俺だってバカじゃない。世間的に見ればこれはヒモが他の女を連れ込んできたような状態である。控えめに言ってもドクズの誹りは免れない。
「えーっとね。色々あってこの子アーキバスを拾いました。ここに置かせていただいてもよろしいでしょうか?」
「はぁ?!色々って何?!ていうかあなたはともかく、この子をここに置く義理はあたしにはないわ!」
仰る通りです。
「ジブンが気に入らないなら、お前が出ていけばいいだけの話だろう。単純ではないか」
「ここあたしの家なんだけど!!」
アーキバスはアーキバスでなんかアマラウに厳しい。というか俺以外の相手にイキリすぎじゃね?埒があかねぇ。
「アマラウ!アーキバスの面倒はちゃんと俺が見るから!だからここに置いてやってくれないか!ちゃんと散歩にも行かせるし!食事代も俺が出すから!」
俺は全身全霊でアマラウに頭を下げる。
「うーん。ちゃんと面倒見切れる?途中で捨てたりしない?」
「しない!約束する!ちゃんと面倒見るから!」
「はぁ。わかったわ。いいわよ。ここに置いてあげる。でもお小遣いは変わらないから、そこから食事代はちゃんと出すのよ!いいわね!」
「うんわかってる!まかせてよ!」
アーキバスはペット枠としてアマラウに認識されたようだ。でも俺のお小遣いだけで面倒を見るのは結構きついな。バイトしなきゃな。
「とりあえずその子の詮索はしないでおくけど、危ないことはやめてよ」
相変わらず心配性なアマラウだったが、とりあえず置いてくれるだけでもありがたい。とりあえず住居問題は解決したので良しとしよう。
さてこれからの方針である。戦力の拡充という点は既に完了した。あとはフラグの消滅である。
「ベットはあたしとジョンが使ってるのよ!」
「お前はソファで寝ろ!ジブンがベットでコマンダーと寝るのだ!」
今現在の不確定要素は「プレイヤー主人公」がすでにこの世界に転生しているのかいないのかである。仮にいたとすればすでにカリストと出会っていてチュートリアルに勤しんでいるだろう。
「わかったわ!じゃんけんで決めましょう!じゃんけんで!」
「ほう!このジブンにそんな手で勝負を挑んでくるとはな!面白い!かかってこい!」
主人公のスタート地点はアーヴィング市。そこは
「やーいやーい!あたしのかちぃ!チョキチョキチョキ最強のチョキいぃぃぴーす!」
「うわああああバカなぁ!ジブンのパーが敗れ去っただとぉ?!」
「紙が破れるだけに?ぷっ!」
チュートリアルバトルは神孫子と天喰の鉱物資源をめぐる企業間抗争を舞台とする。主人公は神孫子の兵士として初期ヒロイン二人を連れてカリストと共に戦争に参加する。当然主人公は戦争に乗り気ではない。ただ生きていくためには企業に所属する必要があり、同時に拾ってくれたカリストへの恩返しとして出征するのだ。だがここでトラブルが発生する。横から殴りつけてくる第三の勢力が現れる。叡宸敎団なる謎の存在が戦争に介入してくる。そしてカリストをそこに所属するキャラクターが殺してしまうのだ。その後天喰所属のジョン・ドゥをボスとして倒して主人公は一躍神孫子サイドでは有名になる。そして主人公は闇落ちというかこの世界で修羅として生きていくことの覚悟を決めてゲームはスタートする。
「さあ、ジョン!そろそろ寝ましょうよ!」
「うわぁああああんんこまんだぁ!ジブンはジブンはいらない子なんですかぁああああ!びええええええんんん」
うるせえな二人とも。ああもうめんどくさい。
「もう三人で寝よう。うん。それでいこう。ね?」
俺は二人の肩を抱いてそのままベットにダイブする。上からみたらまさに川の字である。
「ちょっと狭いんだけど…」
アマラウが文句をつけてくる。
「俺に寄り掛かっていいからさ」
「え?そう?じゃあよっかかっちゃうね」
アマラウが俺の半身に抱き着いてくる。
「こまんだぁ!ジブンも狭いです!狭いです!」
「はいはい。どうぞどうぞ。いくらでも抱き着きんしゃいな」
「こまんだぁ。暖かい…」
そしてさっきまで騒いでいた二人はすぐに眠りに落ちる。さて今後の予定だが、とりあえずカリストが現状どうなっているのかを探るのがベストだと思う。叡宸敎団は探しようがないし、カリストを殺すキャラクターって実はスチルだと顔が陰に隠れてわかんないんだよね。でも一応女キャラのはずっていうのは体のラインからわかる。とりあえず明日からバイトして金稼いでアーヴィング市に向かうことにしよう。
仕事に困ったら冒険人材派遣センターにお任せ!というわけで通称ギルドに俺とアーキバスはやってきた。
「コマンダー。なぜこの街にはセクサロイドと獣人しかいないのですか?ホモサピエンスはコマンダーだけですよね?」
「俺以外のホモサピエンスなら絶滅した」
「ふぁ?!ど、どういうことですか?!ジブンが封印されている間に一体何があったのですか?!」
「俺も知らん。実は俺、異世界から来たんだよね。だからこの世界のことよく知らないんだよね」
「そ、そうだったのですか…む?ということはコマンダーの目的は本来の世界への帰還ということですね!?そしてその後その世界で人類を統一すると!」
いやあの世界では俺はもう死んでいるだろう。それにあの世界じゃアーキバスは兵力として過剰すぎる。まあ今は曖昧な笑みでも浮かべて誤魔化しておこう。
「すいませーん。めっちゃ儲かるクエスト紹介してくださーい」
窓口で仕事を紹介してもらうヒモニート僕。窓口のお姉さんはあからさまに嫌そうな目を俺に向けてくるけど、ヒモ生活に慣れ切った俺にはそんなの通じない。
「こちらなんかどうですか?ドラゴンの討伐。現在のところ請け負い後死亡率100%の案件です」
ナチュラルにひどい案件紹介してくるこの姉ちゃんもなかなかに鬼畜である。だけど報酬はいいので、俺は請け負うことにした。そのままギルドのレンタルカーサービスを利用してトラックを借りてドラゴンの住みかに向かう。
「コマンダー。この任務地、神孫子の勢力圏に近いようですね」
「ふーん。まあでもアーキバスいれば何とかなるでしょ」
「ふっ。お任せくださいコマンダー。ドラゴンなどただのトカゲにすぎません。ミンチにして御覧に入れますよ」
実に頼もしい。そして俺たちはドラゴンが要る山脈地帯に辿り着いた。この山脈が天喰と神孫子の事実上の国境になっているようだ。俺たちは爆速でトラックをぶっ飛ばして山脈の頂上を目指す。
「ん?!センサーに引っかかりました!ドラゴン発見、あとセクサロイド、フィメイル型が一体。交戦中のようです」
「あら。先越されたか。まあいい。横から掻っ攫っても別に問題はないだろう」
仕事の内容はドラゴンの討伐であって、素材の回収などではない。ぶち殺せるならそれで十分なのだ。
「アーキバス!戦闘準備!」
「Ja!アルタードローン展開!」
するとトラックの荷台に4人のアルタードローンたちが出現する。アーキバスのすごいところってこうやって兵力も自分の意思で増やせるところなんだよな。ワンマンアーミー極めてる。
「いやぁああああ!」
『GAAAAAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON』
ドラゴンの姿が見えた。それと一人の女戦士が戦っているのが見える。だけど女戦士は防戦一方だ。これなら横から殴っても文句は言われないだろう。
「アーキバス。ドラゴンぶっ殺して」
「Ja!!総員構え!撃てぇえええ!!」
トラックの荷台からアルタードローンたちが一斉に射撃する。そして例の如くドラゴンは跡形もなくミンチになった。なんか一応頭だけ残ったので、一応これ持って買って換金しよう。
「ご苦労アーキバス」
ドヤァって顔してるアーキバスの頭を撫でてやってから俺はトラックを降りる。そして女戦士のところへと向かう。その人はじつに絵師さんが頑張っちゃた感のあるかっこいいデザインのドレス型戦闘服を着ていた。髪の毛は銀色で、瞳は青い。そして顔はまだ少し幼げだが十分に美しい顔立ちをしていた。
「ありがとうございます!私一人では多分負けていたかもしれません。本当にありがとう」
綺麗な声をしている。聞き馴染みがあるのはきっと声優さんと同じ声だから。そうに決まっている。そうでなければいけない。俺の心臓がバクバクと嫌な音を立て始める。そして同時に息が早くなっていく。そして俺と銀髪の女の子の視線が合った。
「はじめまして。私はカリスト・ヴァルド。神孫子所属のミーレスです」
彼女は優し気に微笑んだ。その笑顔を俺は。
~選択肢です~
1.見て見ぬふりをする。
2.ちゃんと見る。
****作者のひとり言****
悪役転生!それは先回りしてヒロインの好感度を稼ぐこと!
あれ?なんか好感度が高い?おれなにかやっちゃったよねぇwwwww
それって俺のムーブが最適ってことだよな?wwwww
さてそろそろ主人公はもっと大きな選択を迫られます。
悪党という名の聖人を気取るか。
本物の悪となるのか?
果たしてジョン・ドゥは一体何を選ぶのか。
ご期待いただけると幸いです
ではまた('ω')ノ
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