行動力のばしすぎ令嬢、旅するため知らぬ間にラスボスを倒していた
仲仁へび(旧:離久)
第1話
鍛えれば鍛えるほど強くなるゲームがあった。
それは中世の外国を元にした舞台設定のゲームだ。
キャラクターを育成して、敵を倒していくシンプルな内容になっている。
レベル上限は9999。
しかし普通のプレイでは上限には到達しないと言われている。
累計プレイ時間百年ちょっとで、上限に到達すると言われているから、到底9999レベルになるのは不可能だ。
ズルをしたり、しなければ。
そんな世界に転生した主人公ミチュアは、貴族令嬢だったが、旅行が趣味だった。
「せっかく異世界に、それも知っているゲームの世界に転生したのだから、利用しない手はないわね。さっそくレベル上げしましょ!」
なので彼女は、世界各地をすばやく移動できるように行動力を強化する事にした。
「普通のレベル上げじゃ、大して強くなれない。私は貴族だから、敵を倒す機会なんてないし」
しかしレベルは上げたい。
だから考えた末、彼女はズルをする事にした。
「この世界にあるならあれが使えるかも。成長率100倍のアイテムをとりにいってみようかしら」
それは竜の秘宝。
ゲーム内であったそれは、チートプレイヤーのチート行為によってたびたび量産されて、活用されていたアイテムだった。
「ついでにバグもあるかも」
お金持ちの力でさくっと秘宝を手に入れた彼女は、バグも試した。
ゲームの中で、三歩進んで一歩下がるを繰り返すと、時々1レベル上がるというバグだ。
変人令嬢という噂が立ったが、彼女は気にしなかった。
「あとは、そうだ。おいのりのやつもあるかも」
どうせならもっと試そうという事で、おいのりシステムにも目をつけてみた。
ゲームにあったそのシステムは、教会でお祈りする事で、人間に秘められた才能が目覚めるというものだ。
レベルアップした時のステータスの伸びしろが大幅に上昇するのだ。
これによって彼女は、変な事にお金と使う変人令嬢だけど、神様を信じている信心深い人間という、よく分からない印象を周りに与える事になった。
教会につとめる人達からの印象は悪くはない。
普通にレベルは上げたいものの、災害の多い世界だったので、世界平和もきちんと祈り、慈善事業にも協力していたためだった。
そんなこんなな努力?が実ったのか。
彼女のレベルはぐんぐん上昇。
足が速くなったり、各所に転移ができるようになった。
「うわっ、いつのまに!」
「あれ、さっきまでそこにいたのに」
「あれは幽霊だったのでは」
周囲の人間はさらにとまどい。ミチュア幽霊説が浮上していたが、彼女はやはり気にしなかった。
彼女はどこまでもマイペース。
自分がやりたいように行動。
色々な土地に旅行して、たまに困っている人達を人助け。
ステータスが高いので、モンスターなどもワンパンでやっつけられるから、やたら腕の強い貴族令嬢の冒険者としても有名になった。
第二の人生で楽しみを知った主人公は、やがて世界の危機に直面。
ゲームのラスボスと対面する事になる。
しかし。
「大変、ラスボスが暴れたら、いったいいくつの観光名所が駄目になってしまうの!」
と危機感を抱いた彼女の手?足?によって、速攻討伐されてしまった。
復活したばかりのラスボスは、目の前に転移してきたか弱そうな貴族令嬢にワンパンで撃破されて、わけもわからないまま退場することになったのだった。
「これで安心して、色んな所を見てまわれるわね」
世の人間はみな、不思議がっていた。
復活したはずの脅威が、なぜか誰かの手によって消滅させられ、しかもその誰かは名乗りでもしなかったのだから。
行動力のばしすぎ令嬢、旅するため知らぬ間にラスボスを倒していた 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます