イケメンに育った幼馴染からの一途な愛!

昔住んでいた場所に、親の仕事の関係で戻ってきた瑠璃。転入先の学校には、いわゆる『学園の王子様』が存在していました。容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群。そして吸血鬼! この世界で吸血鬼というのはモンスターではなく、敬愛する上位種といったところでしょうか。その『学園の王子様』の名を聞いて、瑠璃は驚きます。昔、一緒に遊んでいた泣き虫の『伊織ちゃん』だったのですから。

伊織は瑠璃のことを忘れたことなどありませんでした。それどころか、かなりのお転婆だった瑠璃に憧れ、彼女のようにかっこよくなりたいと強く願い続けた結果、伊織は『学園の王子様』にまでなっていたのです。

けれど、二人のそんないきさつ、伊織の熱烈なファンが知るべくもありません。知ってもかえって嫉妬に火をつけるだけでしょう。

すっかりかっこよくなってしまった伊織にドキドキする瑠璃。今の彼に『泣き虫の伊織ちゃん』だったことの面影は――なくなったわけではないのです。
他の女子たちがただかっこいいと嘆息するだけの中、瑠璃だけは優しくて怖がりの彼をまるごと受け止めています。
空手有段者で気の強い瑠璃は、伊織にとって今も「カッコイイ憧れの人」。それと同時に「大好きで守りたい人」という気持ちも生まれています。

どちらが一方的に庇護者になるわけでもなく、互いに対等の立場で手を繋いでいる二人が、とても微笑ましいです。

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