一握の

ブンブン丸

第1話

手のひらからこぼれていく

さらさらと

ぽろぽろと


時に無意識に

時に意識的に


落ちて もう 戻らない

無くさないようにしようとしないで

無くならないんだろうと決めつけて


せっせと積み上げて

なんだか綺麗な形を作って


嬉しくて跳ね回って

でも どこか虚しくて


完成したら つまらなくなって

だんだん重くなって

少し減らそうとすれば

何もかも 崩れて落ちていく


なくなったことに気が付いたら

それはそれで悲しくて


もういいや 考えないように

落としたものを見ないように


新しいものに手を伸ばして

また楽しくなって

強く振り払っても

そのうち 向こうから手を離してくれなくなるんだろうと思った


落としたものの正体は

過ちだろうか

愚かさだろうか

何でもいいか


何がしたいんだ


いずれ掴むものがなくなった時に

やってくる虚しさを感じつつも

身軽になったらそれはそれで

穏やかさに漂ってもいたい

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一握の ブンブン丸 @bunbun-maru

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