「あなたはできやしない」と君は言った。私は「毎日が紙一重なんだ、恐ろしいことと」と訴えた。
君は呆れた様に頭を振って、それから「もし、あなたが言う様に恐ろしいことができるなら。きっと、とうの昔にやっていたでしょう」と言った。
私は泣いた。どうして涙が流れるのか分からなかった。じゃあどうやって、あの時「そこ」に置いてきてしまった「小さな私」を救えばいいんだ。
「どんなに泣いたって、例えば、そう。同じ事をやり返したって。時は戻らない。あなたはこれからを生きるしかないのよ」君のため息が空気を揺らした。「大切なのは、これからどう生きるかなのよ」私は泣いた。悔しくて、悲しくて。振り向かずに生きることが罪深く思えて。