• 詩・童話・その他

繰り返される悲劇

小学校1年生の終わり頃、知らない大人が私を知らない大人の元へ連れて行った。その日「親」が出来た。平和だったのは、もらわれてから3日間だけだった。暴力の嵐。それは、まだ6歳だった私から子供らしさを奪った。それから13年間、殴られなかった日などなかった。長い時は4〜5時間にも及ぶ折檻は、何百何千という傷を私の体に刻み込んだ。赤く腫れ上がった皮膚は裂け、鼻血が吹き出し、意識は朦朧とした。死にたくないと思った。鬼の形相の親に何度、死ねばいいのにと言われても。いつか逃げ出してやると固く固く心に誓った。そんな日々を数年過ごして、私の体は大人になった、代わりに親は老いた。私は、自分の中に恐ろしい「鬼」がいることに気がついた。
私は鬼を飼っている。いつか、その鬼を解き放つかもしれないと、怯えている。

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