ぬいぐるみ
ブンブン丸
第1話
何も知らないくせに!と、君が怒る気持ちも分からなくはないが。
そう言って、私が大人しくなるタイプだと君は思ってはいまい。
君はプライドは馬鹿高いが聡明だ。
いや、聡いからこそ馬鹿なのか。
間違えた、馬鹿ではないが。
私は火に油を注ぐのは得意だ。
すごく得意だ。
生活の一部だ。
なんだったら趣味と言ってしまおうか。
「趣味ですが、なにか?」
君は怒るだろうな。あっはっは。
ところで、「何も知らないくせに!」というのは、いささか一方的すぎやしないだろうか。
では、こちらは「知ってほしいなら言ってみろ!」とか。「聞かれたくないだろうから、聞かない様にしてるんだ!」とも言えなくもない。
むしろ、「じゃあ、君は私の何を知っていて、何も知らないと断言しているんだ」と言っても良い。
まあ、いいか。
喧嘩は手段だ。
目的は解決だ。
君の言い分によると、良く知っていれば何を言っても良いことになるが。
なるほど、だから君は嘘ばかりついてしまうのか。
親にも兄弟にも、恋人にも仲間にも、友達にも。
誰にも何にも言われたくないわけだ。
その都度その都度、逃げ回って、一番都合の良い人に尻尾を振りに行くわけだ。
それが、君から滲み出る尻軽さか。
それは言い過ぎか。
まあ、そうしたい気持ちは分からなくもないな。
さあ、誰だったら君の事を「よく知っている」のだ。
君はリスクは良く回避出来ているけれど、リスクを避け続けてきたが故に困難の乗り越え方が、まるで幼稚だ。
騒いで泣けば済むと思っているのか。
お菓子売り場の子供しかやらないが。それでいいのか。
いっそ、それで済ませようか?
「どうして何も言わないの」
「君がみっともないので」
嫌だろ。プライドの馬鹿高い君の事だもの。
長くなってきた、そろそろ面倒だな。私は短気だ。
君の神経もピークだろう、可哀想に。
繰り返すが、私は短気だ。
だから、いきなりドーン!と解決策だ!
ぬいぐるみだ!
君はぬいぐるみを持つべきだ。
持つべきものは友じゃない!
君の場合はぬいぐるみだ!
ぬいぐるみは良いぞ。
モフモフしていて、可愛いし。癒されること間違いなしだ。
あの瞳の深淵さにも惹かれない者はいないだろう。
全てを知ろうが知るまいが、ぬいぐるみはお構いなしだ。
文句も言わないし、注意もしないし。
千切って投げようが、君の自由だ!
ぬいぐるみだ!
なるべく大きなものがいい。
ぬいぐるみだ!
ぬいぐるみを持つんだ!
ぬいぐるみ ブンブン丸 @bunbun-maru
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