最終話「終戦後」

 それから私は、斡旋所の二階の部屋に戻った。

 

 既に昏黒くんの部屋のものは全て撤去されていた。何だか寂しい気がしたが、気のせいだろう。


「今日からこちらが、純様の部屋でございます」


 皆川さんからそう言われたけれど、あまり実感がなかった。


 念願の一人暮らしというのは、こういう気持ちなのかと思った。


 それから私は、一人で仕事を始めることになった。


 殺し、殺し、殺し、殺し、殺し――そして殺すだけの日々。


 その中で、いつかあの三味という男、政府の糸口を掴み、そこに取り入るため。


 全てを自分で選ばなくて済むように、より大きな組織の下で、ぬくぬくするために。


 私、鈍原にびはら純は、今日も生きるために、人を殺す。




 《Ethical Genocide》is the END.

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

倫理ボタン 小狸 @segen_gen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ