ある日僕の人生は大きく変わった・・・

@yagami0704

第1話 出会いと別れ

ある日僕の人生は大きく変わった。


大学生だった僕はバイト漬けの毎日だった。

そんなモノクロだった日々を一瞬で色鮮やかに染めてくれた一輪の花が咲いた。


そうだ新人バイドのAさんだ。


Aさんはどこにでもいるような子だったが、とても笑顔が素敵な大学1年生だ。最初の頃は、僕はなんとも思っていなかった。僕はAさんとシフトがかぶることが多く、研修で手取り足取り教えたのは僕だ。その中で、少しずつ仲良くなっていき、4人で旅行を行くまでになった。その話はまた今度しよう。


そんなある日事件は起こった。僕が急性アルコール中毒で病院に運ばれたのだ。僕の友達とAさんが病院に駆けつけてくれた。意識を取り戻した僕は2人の顔を見上げると、Aさんは僕が意識を取り戻して安心したのか、泣き出してしまった。その時、僕の世界に花が咲いた。この子を2度と泣かせてはいけないと決心した瞬間でもあった。それから、何回か遊びに行って、いい感じになった。しかし、ある事がきっかけで、誰にも何にも言わずバイトを辞めることになった。


それは、病気による余命宣告だった。社長にだけ事情を伝え、他のバイトには何も伝えなかった。もちろんAさんにもだ。それから、僕の入院生活が始まった。そして、毎日のようにAさんからLINEが届いていた。僕は胸が張り裂けそうな思いを堪えながらLINEを返さずにいた。なぜなら、2度と悲しませないと心に誓ったからだ。社長は度々お見舞いに来てくれた。その度に、


「Aさんに伝えなくていいの?」


と言ってきた。僕は首を横に振ることしかできなかった。そこから月日は経ち、


「そろそろか」


と覚悟をしていたある日、病室のドアが勢いよく開いた。僕は何事かと思った。扉の前に立っていたのはAさんだった。Aさんは涙目でこっちに近づいてきて、


「なんで話してくれなかったの?」


と病室全体に響き渡る声で言った。僕は


「悲しませたくなかった」


とぼそっと言った。そうすると、Aさんは、泣き崩れてしまった。僕は、


「また悲しませてしまった」


と辛くてたまらなかった。また、神様は最後に何て酷い事をするんだとも思った。

冷静さを取り戻したAさんは、僕が入院してからの日々を語ってくれた。楽しそうに語るAさんを見て、気を使わせているなと心が痛んだ。

一通りの会話が終わる頃にはすっかり夜がふけていた。そして、Aさんは疲れて、寝てしまった。僕は、寝てるAさんに


「好き、大好き」


と涙ながらに言っていた。その夜、僕は静かにこの世を去った。


ある日僕の人生は大きく変わった。

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