第9話

コンフィールは、皇太子を、辞したあと、勇者になることにした。

ギルドに行き、依頼を受け、自分ができる限界まで、働いた。

自分で稼ぐことが大事だった。

そんな生活をしていると、カノンの事を思い出す。

自分のやった事を反省した。


同情、、、それだけじゃなかった。

今になって、カノンがいないことで、心に穴が空いた。



カノンを探すことにした。


カノンに逢いたい。ただそれだけ。一眼だけでも。


たまたま依頼のために来た街でカノンを見かけた。



「カノン?」


「コンフィール様?どうして?」


「話がしたい。」


「久しぶりですね。なんか今までのコンフィール様と違うわね。」


「皇太子は、辞めた。わたしは皇太子の器ではないからな。今はギルドに登録して、依頼を受けている。」



「え?勇者?」


「カッコよく言えばね。」


皇太子を辞めて勇者になるとは思わなかった。小さい頃から皇帝になるために育てられたのに。


「ありがとう。カノン。会いたかった。ずっと探してたんだ。カノンがいなくなって初めて気がついた。カノンのこと愛していたと。

私は、できない自分がなさけなくて、逃げた。」


「プリンス様とは、、」


「プリンスとは、何もないよ。一緒に話をしてると楽しかった。皇太子として、わたしは欠けていることを認めたくなかった。

だから、プリンスと話をしてると楽だった。

でも、それを認めて、きみがいなくなると僕の心に穴が空いた。

ずっとその穴を君が塞いでくれていたんだね。ありがとう。

少しだけ抱きしめさせてくれないか?」


「はい。」


コンフィールは、強く抱きしめて、泣いてくれた。

「ごめん。もっと早く気がつけばよかった。愚かなわたしだ。

会ってくれてありがとう。これからは、頑張って勇者になるよ。君のいる街を守りたい。遠くから君を守りたい。」


「コンフィール様。」



「ごめん。迷惑かけているのはわかっていたけど、離婚届を出していない。自分から出せなかった。」


「え?」


離婚届をみせた。

「もうちゃんと出してくるから。突然声をかけてごめんね。顔を見れてよかった。元気で。」



「コンフィール様。。私、あなたのことずっとお慕いしていました。いえ、お慕いしています。今も。私の中では、あなたしかいないのです。会いに来てくれてありがとうございます。」




「え?」


「私はずっとあなたを好き。出会った時から、、今も、、」


「今度は、必ず幸せにする。もう一度、やり直しさせてくれないかな?皇太子と皇太子妃ではなく、今度は、勇者と街娘と、、、」


「はい。」


「本当に?」


「はい。今度は幸せにしてくださいますか?」


「ああ。離さない。もう今度は、傷つけない。」


「ありがとう。私を探しに来てくれて。」





二人は小さな街の民家で、二人で暮らした。

今までと違い、コンフィールは、わたしを溺愛してくれた。


家にいる時は、ずっとそばにいた。



「もう一度、わたしに、カノンをくれないか?」


「わたし、、、、」


「カノン、俺はプリンスとも他の誰かとも闇を一緒にしていない。あの日、君を抱いた以来、誰とも闇を一緒にしていない。」


「嘘?わたしだけ?」


「ああ。本当だ。」


「わかりました。今度の休みの日に、、、」




次の休みの前の夜、カノンは覚悟した。


「コンフィール様。あの時とは違うけど、自分なり磨きました。わたしをもらってくれますか?」


「カノン。綺麗だよ。」抱きしめてくれた。


「見せてくれる?いい?」


「はい。」

自分でナイトドレスを脱いだ。

コンフィールは、背中にキスをしてくれた。

「ごめんな。辛い思いしてたのにな。気づいてやれなくて、、」


「もうあの時のことは、、、」


「そうだな。これから君を愛すから、覚悟してね。」


本当に毎日、愛してくれた。

いや。もう抱き潰されていた。

夢のような時間だった。


「コンフィール。待って、、、もうわたし、、、ダメっ。」ベットから出ようとすると、


「カノン。無理。毎日抱いても飽きない。可愛い。」

またベットの中に連れられて行く。


あの時には考えられない。

皇太子としてでは、自分の気持ちを抑えていたのかしら?

勇者になって、体を動かすから、欲するのかしら?


それにしても、あの時とは考えられないほど、私を愛してくれる。


夢なのかしら?



「ありがとう。カノン。愛してるよ。」


その後も考えられないような溺愛が始まった。


「待って、、そこまでは、、」


「いいから。」


その溺愛は、子供産んでも変わらなかった。

コンフィールが、こんな人だとは知らなかった。

お互い皇太子、皇太子妃の仮面を被り、本当の自分たちを魅せなかった。


「ありがとう。コンフィール。」


「こちらこそありがとう。これからもっと幸せになろうな。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

皇太子妃として、必要ありませんね。では、もう、 @karen06

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ