第57話 vs聖獣
俺は棍棒を離し、腰にプラプラと吊り下げた。
そして、胴に迫り来るシロシロの拳を避け続ける。
シロシロ戦は距離を取り正面に立たない、つまりは拳を当てられないことが基本だ。
もし掠りでもしたら、そこで爆発して終わりになる。
後は隙をついて行けばいい、ソコぉ!
——シロシロの後頭部に掴んだ棍棒を叩き付ける。
ポ カ ッ。
だがシロシロはビクともぜずに、振り向いてきた。
地味だし何より心が痛むものの、この調子で一発ずつ入れていくしかない。
アダマンタイト装備なんて俺には用意できていないのだから。
あと気を付けなければいけないのは、落ち葉による追爆と、シロシロのツノが光り両の拳を合わせた時だが……今回は木を先に倒してしまっているので、前者は問題ない。
後者はシロシロを中心とした広範囲爆撃だ。
通称DPSチェックであり、ダメージはそれほどでもないが必ず当てられる。
一度耐えさえすれば、シロシロの動きは鈍くなるので後はぼこぼこに殴れば倒せるはず。
——シュッと、シロシロの横に立つ俺の首元まで手刀が伸び、その手が握られる。
何だこの動き!? 確かに今、分かりづらいが裏拳とも違う腕の振りだったし、指も真っ直ぐに伸びていた。
やめてくれよおゲームと違う動き。
同じでさえ勝てるかどうか分からないってのに……。
俺が隙を見つけシロシロの後頭部を再び殴ろうとすると、シロシロは拳を後頭部の前へと構える。
俺はそこを避け、ぽ こ ッ 。と棍棒で殴った。
シロシロの動きが増えてきたが、そろそろ第二形態のはず。
ズザアア……スッ
危ねえ、今度は俺の方へとスライディングした後ターンしてきて、拳を向けてきていた。
でも問題ない、何故ならシロシロは小さくてリーチが短いからだ。
そして防御されようと、俺の棍棒は若干のリーチがある。
動きの速さにさえついて行ければ、一方的な戦いだ。
——と、黒い葉が目の前にヒラヒラと落ちてくる。
ソレが爆発し、目の前が眩む。
ヤバい、読み違えた。
とにかく立ち止まってるとマズい。
……視界はすぐ正常になり、シロシロの背後にいる誰かが見える。
あれは、ここにいるはずのない——魔の時空でシロシロが倒したアレと少し似ている人型の、最終章ボス。
ターコイズシスグラスコ、通称ターコだ。
ニュートラルワールド 〜人見知りネトゲ脳の悪役転生記〜 坡畳 @I15UUA3
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