第20話 It's like ・・・


 今晩は、『九尾の狐』の家にお世話になることになった。


 家と言うか、住処と言うか・・・


 崖を無理やりくり抜いたような洞穴に案内された。


「・・・ここに住んでるんですか?」


「ええ。とは言っても、寝に戻るくらいですが」


 聞けば、ここら一体に住んでいるものの殆どがそうなのだそう。


 まぁ、住んでいるものも『九尾の狐』と同等、またはそれ以上に強い、偉いのだとか・・・


 まるで貴族ばかり集まるベッドタウンのようだ。


 しかし寝に帰るだけあって、洞穴の中には何もない。


 唯一、端の方に壺があり、その中には何故かハンコが入っている。


「これ、何?」


「拾ったものです。250年ほど前に」


「安永に?あたしはまだ生まれてないじゃないか!」


 『二口女』が言う。


 そこから少しの間他愛もない話をして横になる。


 目を閉じた。


 今日はこのベッドタウンのような場所で夜を明かす。


 明日こそは、何も起きない1日だといいな・・・

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私が訪れた異界の国々 華野 香 @yuki-graruda

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