Dollz_Workerz

マリィメイヤー

プロローグ 人形とヒト

ppp…ppp…


「っ…うるさいわね…」


乱暴に目覚まし時計を止め

機嫌悪そうにゆっくり起き上がる


カーテンを開け光を部屋の中へ入れる

窓が反射し自身の姿が見えた


そこには右半身焼け爛れた

美しい狐の女性が立っていた


急ぐ事無く女性は身支度をする

緑のワンピースを着たあと

少し焼け焦げた可愛らしいフリルの

エプロンを付ける


身支度が済むと部屋を出て

誰もいない事務所へ向かった



事務所に着くと冷蔵庫から

度数の高い酒と

よく冷えたグラスを持ち出す

そしてお客様用のソファーに寝そべり

酒を煽り始める


煽り始めて数十分が経った頃

女性が出てきた扉が音を立てて開いた


「おい!なんで起こしてくれなかったんだよ!」


ドタドタと狐とも狼とも似つかない犬系の

男性が雑に服を着ながら女性の元へ駆け寄る


「あら?そんなの聞いた覚えがないわ」


しらばっくれる様に女性が話すと

男性は頭を抱えた


「あのなぁ…あー!もう我慢出来ん!ドール!いや、ドール=ソーイング!お前に命令する!今すぐオレの言う事を…」


「イヤよ、聞くわけないじゃない」


するりと命令を無視し、反論する

するとその女性、ドールが


「なら私が言うわ、フィギュア、フィギュア=アスキーアーツ、私の為にコーヒーを入れなさい」


と、言い放つ

すると彼は何か言いたげになりそうに

なりながらも渋々コーヒーを入れ始めた


「なぁドール…お前、なんで人形なのにそんなに性格ひねくれてンだ?」


カチャカチャとコーヒーを入れる

準備をしながらふいにフィギュアが

質問をする


「私は特別なの、そこら辺の人形達とは訳が違うわ。」


「そうかい…その訳とやらを聞きたいんだがねぇ…そろそろ教えてくれよ…」


コーヒーを作り終え

ドールのグラスの隣にコーヒーを置く

彼女はその質問を無視し

コーヒーを飲み始める


少しの間静寂があった

しかしそれもすぐに打ち破られた


「おっはよー!諸君!元気か?!」


先程の扉から全身ラバーで包まれた

女性が元気良く飛び出してきた


「なぁグリム、朝だから少し考えてくれ…そのテンションは朝からじゃキツい…」


「え〜?!いーじゃんいーじゃん!これくらい元気あった方がさ〜!」


フィギュアの背中をバシバシと

叩きながら言う


「全く…とりあえず、今日は依頼があるからてめぇら余計な事すんじゃねぇそ?」


「はいはい…」

「りょーかーい!」


「ったく…分かったんだかな、本当に…」


ぶつくさと文句を言いながら

事務所の扉を開けた

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