第6話 生体兵器

 その日は夜の清掃の仕事中の事であった。教会の玄関に教頭先生、保護者会、周衛の人々が訪れていた。


 ロリシスター清水を渡す様に言いに来たのだ。


「そのシスターは生体爆弾を体内に持っているはずだ」


 教頭先生が罵倒する。牧師さんが対応するが状況は極めて不利であった。


 それは本当にロリシスター清水が紛争国にいたからだ。


「身柄を渡すにも時間がかかる。明日の夜に改めて来てくれ」


 牧師さんが何とか譲歩案を出して。今日の所は帰ってもらった。しかし、時間は二十四時間しかない。


 ここは私が何とかせねばと錬金術の本を読み漁る。


『これだ!!!』


 私は一つの提案を導き出した。そこで、急いで厨房に行き錬成を始める。


 ロリシスター清水は震えて部屋から出ないでいた。


 私は三時間の休憩の後、錬成を続ける。そして、夜が暮れて再び人々が教会に訪れる、と……。


「時間だ、シスターを渡せ」


 ロリシスター清水が外に出て連れて行かれる瞬間である。最後の錬成が終了して、私は木箱を持って急いて外に出る。箱を開けると空に光が舞い上がる。


 それはオーロラであった。


「こ、これは……」


 驚く人々。当たり前だ、夏の日本でオーロラは考えられないからだ。


 人々はこの地球で差別なんて小さなことだと思い知らされる。


 これが錬金術を使った私から提案であった。私の提案は皆の心に届き、ロリシスター清水との和解であった。


 その夜は深夜までオーロラが極東の国にきらめいていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

貧乳は教会に相談しらた直りますか? 霜花 桔梗 @myosotis2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ