誰にでもなれるダンジョン管理者

第2話 求道

「ヌキヌキダンジョンベスト100（関東版）」を片手にダンジョンをめぐって半月が過ぎ、完全に飽きた。

最初の何件かはダンジョンの趣旨通りに楽しんだんだが、徐々に気持ちが盛り上がらなくなってきて、最終的にはピクリともしなくなってしまった。

さすがにおかしいと思って鑑定屋に行ったら「催淫耐性Lv.6」が生えていやがる。

まじかー。これはいらないわ。こいつのせいでオレは役立たずになってしまったのか。

いや、たちはするけど、サキュバスとのあれやこれやはやっぱり催淫スキル的なものが九割九分くらいだったんだろう。

呪いなら解呪できるけど、スキルだとどうしようもないからなあ。

スキルは鍛錬の結果獲得することがある。

今回のオレでいうと、半年間のヌキヌキダンジョンめぐりが催淫耐性獲得の鍛錬扱いになったということだ。

同じ鍛錬をしてもスキルを獲得する人間と獲得しない人間がいるので、スキルの獲得には適性や才能のようなものがある。

自分でもヌキヌキダンジョンを運営したことがあるので知っているが、たかだか半年で催淫耐性Lv.6というのはちょっと見たことがない。

マジで無駄な才能である。

いや、前の職場でなんだかんだで結構サキュバスさんたちのお世話になってたし、あの時点で催淫耐性あったのか？

鑑定なんかずっと行ってなかったもんな。

面接とか階層更新のたびにテストとか言ってやらせてもらってたからな。

しょうがないので逆に、ヌキヌキダンジョンに普通にアタックして無双してきた。

ヌキヌキダンジョンには全部それ目的な風俗タワーみたいなタイプと、サキュバスがデバフ持ちの普通の敵として現れるノーマルなタイプがある。

風俗タワータイプで虐殺しまくると逆に周りの客に殺されるので、ノーマルタイプを選んでアタックする。

催淫がほぼ効かないので、高難易度でつよつよサキュバスのつよつよ催淫に頼っているダンジョンほど相性がよく、かなり稼がせてもらった。

フロアボスで出てきたクイーンサキュバスの催淫はさすがに効いたから、せっかくなのでちょっと遊ばせてもらった。

ひとしきり楽しんで二週目に突入しようとしたら、急に冷めた。

たぶんまた催淫耐性がレベルアップしたんだろう。

ちょっと悲しい。次にサキュバスを楽しめるのはいつになるだろうか？

そういえばニッチすぎて忘れていたが、耐性弱体化のスキルというのもあった。

催淫耐性弱体化スキル持ちとサキュバスを組み合わせて、耐性持ち向けのヌキヌキダンジョンというのもありかもしれない。

耐性持ちなんてヘビーユーザーに決まっているので、鬼リピートしてくれるのではないか。おいしいのではないか。

ただ、耐性持ちがどれほどいるのか、っていうのはあるな。

いつのまにか次のダンジョンへのモチベーションが上がってきたし、そろそろ無職辞めるかー。