早退しようよ
恋戦富
第1話「 」
「おい。この花あげるよ」
「え?私誕生日でもなんでもないけど、、。」
「いいから、もらってくれ。それ、ネリネって言う花なんだ。」
「、、何、そのお別れみたいな感じ、。」
「花言葉は、ネットで調べてくれ。でも、それを調べる日は、10月13日で。」
「え〜、勿体ぶらずいってよ。あ、もしかしてプロポーズ?だとしたらどうしよっかな〜」
「んなわけあるか!」
「あれ〜?顔が赤くなってるよ〜」
「いいから!ちゃんと守れよ、さっき言ったこと」
「はい、はい。分かりまっした〜」
「、、、なんか、ウケるw」
「はぁ?そっちこそ、マジウケるんですけど〜、こんなシャレた感じのあげちゃって」
「そうだな、。じゃあ、また」
「うん。またね。」
それから、私たちは会わなかった。
___いや、会えなかった。
高校の入学式初日、私は寝坊した。
しかも、30分も。まだ、5分ならまだしも、その6倍はやばすぎる。朝ごはんのパンをくわえながら、「なんかイケメンと出会わないかな? あ、言い訳どうしよう、!道端のおばあちゃんを助けてましたでいっかな?」
そんなくだらないことを考えながら全速力で走った。多分、自己ベスト記録だ。
息をゼェゼェ吐きながら、私は新しい学校に入った。すでに入学式は終わる直前だった。息を潜めて体育館の会場に入り、椅子に座った。周りの目線が白かったが、なんとか誤魔化すことができたみたいだ。多分?
そして堂々と退場した。
「この入学式はある意味私の記憶に残るだろうな。」私は、小学校から同じ親友の莉子と体育館の外で話していた。「いや〜、マジで由佳が来なかった時はマジでビビったわ、本当に来ないと思ったよ。」
「私も!朝から冷や汗かきまくりw、全速力で来たよ!まぁ、多分誤魔化せたと思うし、まだ入学したばっかだからね!大丈夫でしょ。」
今、思い出すとバカだなと笑ってしまう。
「にしてもさ〜。知ってる?この学校に超絶問題児が入学して来たって。」
「え?それどこ情報?」
「風の噂ってやつだよ。あとね、その人の名前聞いたんだけどさ、、。」
《さいおんじ ゆうき》
西園寺 悠貴
私は、この言葉を聞いた時、なぜか聞き馴染みがあった。それから私は莉子と別れ、初めての教室に入った。クラスは1の3だった。
それから、学校生活が始まった。私は、勉強が得意ではないので、いつも定期テストでは下から数えたほうが早かった。でも、その代わりに運動神経はよく、9月の体育祭でのリレーと徒競走では一位になった。新しい友達もできて、まさに青春そのものだった。面白かったことといえば、確か、夏頃にクラスの戸部くんがお笑い芸人の真似をしたことだ。なんか思ってたより似ていてみんな爆笑していた。とくに、変顔とあの青たぬきのモノマネが面白かったな。夏休みでは、友達と一泊二日の東京観光に行ったり、プールでとにかくはしゃいだ。クラスのみんなとも仲がいいし、この前みんなでカラオケに行ったこともある。相変わらず戸部くんは面白かったけど。とにかく楽しかった一年間だった。もう、一年生が終わってしまうと考えたらとても悲しくなった。 そうだった。あの人と出会ったのはその時だ。一年生の秋頃。確か10月13日。その日の放課後私の机の引き出しに手紙が入れてあった。
第一話「10月13日」
早退しようよ 恋戦富 @yunahk0613
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