微妙な関係の3人が行う黒い仕事

 司法では裁くことができない犯罪者を裁く処刑人、久道書哉。
 彼には石神玻璃と烏衣恭史郎という仕事仲間がいるが、その関係は微妙で、決して良いとは言えない。仕事仲間という言い方すら語弊がある位だ。

 処刑人という立場上、作品にはどうしようもない犯罪者が残酷な目に遭うという表現がある。だが、それをするにあたり、死霊を使役するという久道の設定が細かく、処刑のシーンでは残酷ではあるもののある種の美しさを感じることができる。

 また、微妙な関係の仕事仲間の書き方もよく、ギスギスしながらも仕事の関係は保つという丁度いいところを表現している。そして、それがあってこそ、終盤の展開はたまらない。

 2万字程度と比較的短い作品のため、是非とも処刑の美しさを感じて欲しい。