何も持たない少女を応援したい

領主の娘として幸せに暮らしていたアデリーは、一瞬にして何も持たないただの少女になってしまいます。

何の役に立つこともできないと悩みながら、自分にできる何かを必死に探して頑張る姿は健気で、作中の人々と同じく応援したくなります。

廃城での生活は自然に囲まれて、静かで、誰もがその手で仕事をこなして日々を織り成していきます。彼らの生活が細やかに描写されていて、とても心惹かれます。特に料理を教えてもらったり、パンを焼いたり、おいしいと喜び合う風景は目に浮かぶようです。


泣き虫だけれど健気なアデリーと廃城での生活は、一枚の穏やかな風景を眺めるように穏やかでやさしい気持ちになります。とても美しいお話でした。