2023-09-28
また朝から雨。気持ちが乗らず、マインドフルネスアプリに何度も頼る。依存症になってないか? 昼過ぎになったらまた晴れてきた。
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今日も今日とて研究のネタ出しと授業準備。授業準備では、SDGsとその前身のMDGsについて整理していた。MDGsは貧困や疾病といった問題だけを限定して取り上げたものだ。MDGsのおかげで問題解決のための投資額が増え、とくに貧困問題に関してかなりの成果をあげた。しかし、MDGsは一部の専門家が中心になって策定したものなので、途上国の意向が十分に入っていないという批判があった。それで、その批判に応える形でSDGsでは途上国の意見を幅広く取り入れることになった。そうすると、あれやこれやとゴールとターゲットを追加していくことになり、結果的に、何が何だかわからない理想の雪だるまみたいなものに膨れ上がってしまった。そして今や、SDGsを2030年までに達成するのは絶望的な状況になっている。
こういう経緯を考えると、決定プロセスを民主的なものにすることで、かえって問題解決から遠ざかってしまったのだという見方もできる。途上国の意見なんて取り入れないで、先進国で目標を限定してしまった方が、むしろ途上国の問題解決に寄与できたのではないだろうか。それはつまり、パターナリズムを肯定するということだ。
しかし、さらに見方を変えるなら、民主的な決定プロセスが中途半端なものだったからこういうことになったのだとも言える。SDGsみたいに単にみんなの意見を取り入れて理想をだらしなく並べることは、民主的決定プロセスとは言えない。リソースが限られていることを理解した上で、どの意見を優先すべきか徹底的に議論することこそが民主的決定プロセスだ。「うんうん、わかるわかる」と相手の話を聞いてあげるのは、相手から嫌われないというメリットはあるけれど、結局のところはただの欺瞞でしかない。なあなあの欺瞞でやり過ごすくらいならパターナリズムの方がまだマシだ。
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今の時代、地方の大学に就職したらだいたいの場合、地域貢献を要求される。就職先になりそうな地域の新聞を電子版でお試し購読して、どういう地域なのか雰囲気を調べているけれど、いまいちよくわからない。田舎過ぎてニュースらしいニュースもないという感じだ。結局、住んでみないと何もわからないのではないだろうか。
地域関連の勉強をしないとなあ、と思って『立地ウォーズ』という本を少し読んだ。経済地理学の知見も使いつつ、経営学の観点も取り入れたような内容。ポーターのダイヤモンド・モデルというのが載ってたけど、なんか意味わかんない感じの図だった。経営学とかビジネス系の人たちって、意味わかんない図を使いたがる。一種の宗教なんだろうな。あまりお近づきになりたくない。
立地の規定要因として「費用節減」「収入増大」「付加価値増大」の3つが挙げられていた。最初のふたつは昔から言われてきたことで、最後の「付加価値増大」というのを入れたのが著者のオリジナルらしい。つまり、その場所に立地することで、イノベーション力やブランド性がどれくらい高まるか、という話だ。
でもそれも結局は「費用節減」と「収入増大」に含められるんじゃないかなあ。イノベーション力があれば費用節減と収入増大につながるし、ブランド性は収入増大につながる。あと、そもそも収入から費用を引いたものが付加価値なので、費用・収入と別に「付加価値」という項目をわざわざ設ける意味がわからない。「付加価値増大」を入れることで、かえってモデルがぐじゃぐじゃになっただけなんじゃないだろうか。何かの賞を受賞した本らしいけど、今のところ、あんまり良い本とは思えない。
「費用節減」と「収入増大」という視点で捉えると、地方が衰退するのは当たり前だということになりそうだ。土地にかけるお金は節約できそうだけど、よっぽど給料を高くしないと良い人材は集まらない。また、人口が少なく、他企業も少ないので、需要が限られているから収入増大は見込めない。普通にやってればどこも赤字だということになると思う。もともとある企業はどんどん潰れていくし、外から企業が来ることもないので、地元の人の働き口がなくなっていく。役所と介護施設くらいしか就職先がない、何のために存在しているのかよくわからない地域になっていく。
柳田國男が農商務省の役人をやっていたころの文章に書いてあったことだけど、それぞれの町や村にはもともと役割があるものであって、その役割を果たし終えたら消えていくのが自然なのだいうことだ。たとえば鉱山町は鉱山採掘が終わったら消滅する。わたしも半分くらいはその意見に賛成だ。でも、地域を残そうと奮闘している人を前にその言葉は言えないので、全面的に賛成することはできない。
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『自転車泥棒』を途中まで観た。よく考えたら前に観たことのある作品だった。ああ、この自転車が盗まれるんだなあ、と嫌な予感とともに観ていたら、やっぱり今回も盗まれた。みんな英語を話してるけどイタリアが舞台らしい(今調べたら、英語吹き替えみたいだ)。なんでイタリアが舞台の古い映画はみんな貧乏話ばかりなのだ。まだ残り1時間くらいある。これからますますどん底に落とされていくのだろう。気が重い。
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Apple Musicで君島大空という人を見つけて聴いてみたら結構よかった。「サーカスナイト」のカバーもやってるんだな。今週のヘビーチューンにしようか。
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