葛藤、情熱。――読むなら貴方も走り切れ。

まず最初に。私は本作の329話までを三日で一気読みしたことを示しておきます。これを見た方もなるべく一気読みすることを推奨します。
そもそも私はロボット系に一切触れて来なかった者です。それでも惹かれました。

まず、王道のアツさ。知らないのに知っている王道の展開、かつ、主人公が曇りながらも何度も立ち向かっていく。主人公に軸が通っているのも良いです。強くも弱い、優しくて脆い。強みも弱みもしっかり描けていて感服です……
さらにweb小説(特にラノベ)はあまり読まないのですが、先を読みたいと思わされる物語の構成。怒涛の展開がありながらもしっかり芯のある物語なので惑わないのがすごいところです、先を読む指が止まらなかったです。

やはり一気読みするからこそ得られるアツさもあって……読もうと思って正解でした。
それぞれのキャラクターも魅力的かつちゃんと"生きて"いて、単なる物語の舞台装置になっていない、逆にそれによってストーリーが疎かになっているわけでもない、というのはすごいと思います。
ちなみに私はブランくんが一番好きです。
ストーリーの鬱展開はめちゃくちゃ苦しいし辛いしかわいそうで不安にもなりますが、不思議と安心感がありますね。このキャラ死ぬんじゃなかろうかと邪推してしまったりもしますが、ケイくんの主人公らしさのおかげでここからでもいける……!!という気持ちになります。葛藤が何度も描かれて何度も立ち直るシーンがあるからこそ、きっとまた立ち上がれるだろうとこちらも思えるのだと思います。それがアツくて良い!!
そしてそもそも、情熱と愛情がものすごい。読んでいて確かに作品への愛情を感じました。長い間、長い文字数を走り抜ける、それがどれほど大変なものか私には想像もできませんが、その欠片を読ませていただいた者として本当に尊敬します。

三日でここまで読むことができたのはどう考えてもその『情熱』のおかげです。それと、各話にちゃんと引きがある。何度も言いますが次の話が気になる構成にされているのはすごいです。正直言って私はライトな方向の小説が苦手なのですが、それでもここまで不快感なく読み切れました。ちゃんとした一人称でありながらロボットのことも(無知な者でも何となくわかるくらいに)描写されつつ客観的描写もあり、非常に読みやすいです。

これがまだ続くの、期待しかないですね……楽しみです。普段は未完結作品にはレビューどころか星もつけないのですが、これは今この瞬間つけるしか、書くしかありませんでした。