夢うつつ

Kiki✩.*˚

1Kの世界


8畳の1Kで涼介と私は同棲をスタートした。

涼介とは実家を出る為、家具を揃えに訪れたリサイクルショップで出会った。

涼介が私に一目惚れした事は鈍感な私でもわかった。

だから私も舞い上がってしまったのだろう。

付き合ってから同棲まではトントン拍子だった。

見つめてくれる優しい笑顔も

起き抜けのマヌケな格好も

ちょっと音痴な鼻歌や、勉強熱心なところ。

仲間想いなところ。一緒に暮らしはじめて

色々な涼介に出会えて幸せだった。


同棲1年目。

涼介が変わりはじめたのは、この頃からだった。

相変わらず私を見つめる優しい笑顔。

でも、帰って来ない日が増えた。

そんなある日、涼介は家に女性を連れて帰ってきた。

「何で!!?」

いくら問いただしても返事はなかった。

「泊まってもいいの?」彼女は言った。

「うん。いいよ」

涼介の言葉に私は凍りついた。

涼介の変化には気付いていた。でも、私を見つめる涼介はいつも優しかった。

だから、信じようと思っていたのに、、、

「涼介、、、もう私の事はどうでもいいの?」

涼介は何も答えてくれなかった。

まるで空気みたいだ、、、


パリン


「、、、?涼介くん。鏡割れてるよ」

「あれ?ほんとだ。危ないからそこにいてね」

そう言うと涼介は私の顔を覗きこんだ。

「涼介、、、」

涼介は軽くため息をついて、私を抱きかかえて言った。


「また買わなきゃ」



END






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢うつつ Kiki✩.*˚ @-borari-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ