最終話 僕の生きた先のことは託す件
ターゲット:サンプル090234土壌
採土日:冬
主要作物:米
土壌種別:栗色土
不足:なし
過剰:なし
Ph値:やや酸性
コメント:土壌改良によりラトソル化が順調に進んだものの、人工的な改良を継続する必要あり。近隣の熱帯林の侵食箇所あり、また地下水脈の変動も見られるため、定期的に土壌水分量の観測を推奨する。金属収集植物の野生化が見られる、植物分布の観察および駆除を要検討。
・
・
・
・
・
・
【Notice】
おめでとうございます!
『
活動期間は16,800年を数えました。これは想定より2,000年ほど短く、その主要因として異分域生命体の招集作業に成功したことが挙げられます。工程技術および
本来予定されていた異分域は次のとおりです。
A.ko<pfeh8963^`Ga
B.gni903220?*+**
C.mamai;:@;1..^-11+
本来予定されていた生命体の招集要件は次のとおりです。
1,
2,
3,元の分域における神話的逸話の所持者。
なお、新たな『
この新『
ただいま立案権所持者より提案がありました。
新『
新『
次『
新『
次『
各『
>『
>『
世界は救われた——と言われても、何のことやら、と皆一様に首を傾げるだろう。
はるか昔、地上の半分以上の土地が荒廃したことがあった。作物も実らず、動物は住めず、人類は生きていけない土地ばかりになって、残された人々は住める土地を奪い合って生きていくほかなかった、そんな時代。
一人の救世主が現れた。その救世主はあっという間に作物を実らせた。ほんの少しの種麦から、大勢の人々が何年も暮らしていけるほどの麦をたった一日で育ててしまった。
それから救世主は魔除けの香草を生み出し、荒廃した土地の侵食を押し止めた。鉄を探し出し、多くの土地を豊かにする方法を教え、そして——人類の敵だった魔王と話し合い、魔王の故郷へと渡った。
以来、人類は魔物に襲われることはなくなった。滅亡の際に立たされていた人類は救われ、荒廃した土地は時間をかけて元に戻っていった。
世界は確かに、このとき一度救われていたのだ。
救世主がいなくなったことを悲しむ人々は、救世主から託された植物の種を育てることにした。
常に実り、収穫の喜びが当たり前になった人類は、やがて飢餓を忘れ去った。
争わずとも、待たずとも満腹になることで、人類は緩やかに生きていくことを覚えた。
やがて人類の文明は長い時をかけて衰退していく。必要に迫られなくては進歩はなく、追い詰められなければ新たな発明はない。
それもまた人類の選択であり、最後の人類が大陸から姿を消すころには、緑が大地のすべてを埋め尽くしていた。
緑の大陸は不可侵の領域と認識された。
世界にただ一つの人類生存領域となったイルストリア大陸には、サルキス・マリス=イルストリアをただ一人の永世王として戴くイルストリア王国が栄えた。
その王の隣には、常にある
救世主と同じ力を持つとされる、
「サルキス王、宇宙開拓とかしない? 真空や月で生育できる植物作りたいんだけど」
「はっはっは、寝言は寝て言え」
「サルキス王、海底の熱水噴出孔で育つ植物を採ってきてよ」
「お前たちは
「いいじゃんケチ王ー」
「楽しいことしようぜ王様ー」
「ぐぬぬ、カツキめ、こんな子孫ばかり残しおってからに」
救世主の子孫たちのおかげで、サルキス王は毎日が忙しく、楽しく、いくら長生きしても飽きないほど頭を悩ませられましたとさ。
おしまい。
異世界に召喚されたぼっちはフェードアウトして農村に住み着く〜農耕神の手は救世主だった件〜 ルーシャオ @aitetsu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます