出会い
ボーン
第1話 出会い
私が、彼女と出会ったのは駅の出入り口だった。
突然の雨は、私に運命の出会いをもたらしてくれる。
その日、傘も無く困っていた私にそっと傘を差し出してくれる可憐な女性。
その可愛げな瞳。
清楚な出立ち。
私は一目みた時から彼女の虜になってしまった。
彼女は、「迎えが来るので、この傘を差し上げます」
と言う。
私は傘を頂いた喜びよりも、彼女の行き先が気になった。
「どちらにお帰りですか?」
と聞くと私に、彼女は明確には場所を言わない。
これ以上を聞くと失礼に当たると想い
私は、その場から離れた。
……今日、獲物を見つけた。
必ず私の物にする。……
家に帰った後、私は彼女の事を考えていた。
同じ駅で電車を降りたのなら、
もう一度その駅で会うかも知れない。
真に偶然とは恐ろしい物で、次の日彼女と出会う。
まるで運命に操られるかの様に。
彼女は
「昨日は、貴方から私の住む場所を聞かれて答える事が出来ませんでした。」
と、何故か私に謝ってくる。
その瞳の奥に私への関心の高さが伝わってくる。
私は下心を隠す様に
「昨日の傘をお返ししたいのですが、どうしましょうか?」
「良いですよ。コンビニで売っている安物ですから・・・」
「では、お礼にお茶でもご馳走します。」
と、半ば強引に彼女の腕を取り、
喫茶店に連れて行く。
清楚な女性には、少し強引な方が良い。
……罠にハマったな……
喫茶店での語らいの中、彼女の名前を聞き出す。彼女の名前は、大谷慶子。
住所も連絡先も彼女は簡単に教えてくれる。
週末のデートの約束も取れた。
後は、・・・・・。
デートの日は、晴れやかに澄み渡り
彼女の車で彼女の望む海辺の町に行く。
潮の香りと、魚の干した匂いの混ざる中
食欲が目を覚ましている。
美味しそう。
彼女はある場所に案内してくれた。
それは、彼女の別荘とも言える家だった。
少し古びた木造であるが、柱もしっかりしていて頑丈そうに思える。
明かりも弱く少し不気味に感じたが、二人きりなら丁度良い。
これから予想される事に、心が踊った。
……どの様に迫っていこうか?……
彼女は、家から持参した手提げのポットを差し出してきた。
「これ、私が作った強壮剤よ。お飲みになりますか?」
その言葉に、私は驚きを隠す事が出来ずにいたが、彼女の好意として捉えた。
据え膳食わぬは男の恥だ!
「はい、頂きます。」
と言う、言葉が嬉しさを隠せない。
私は、一口で飲み干した。
全身に力がみなぎるはず、だった。
「慶子、おまえは凄腕だよ!簡単に獲物を捕まえてくる。感心な娘を持てて母さん嬉しいよ。」
「そんな事より、早く料理してよ。この前食べたのは一か月も前の事なんだから。父さんは何処に行ったの?」
「お父さん、久しぶりの人間だから調味料を、
『マオウ様から頂いてくる』って言っていたよ。もう直ぐに帰ってくるでしょう。
先ずは、頭を切り落として!と。」
完
追伸
……の部分、誰の声でしょうか?…
昔、人間を食べる事が日本にもあったそうです。
Siriが言っていました。
知らんけど。
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