第21話 有幻覚
獄殺のカシュ―・ラッツの言葉によって怒りが頂点に達した十蔵は100%の力で襲い掛かった。
バンッ!!
「
しかし獄殺のカシュ―・ラッツはそんな十蔵の突撃にマグマの壁を作り出し十蔵の脚を止めた。
十蔵が本気の力で動き出してから魔法を発動し間に合う魔法発動の速さ。それに十蔵は驚きの表情となる。
「ずいぶん驚いているね?・・・もしかして魔法使いとの戦闘経験が少ないのかな?それとも強い魔法使いとは戦ったことが無いとか?・・・確かに君は速く脅威ではあるがまったく反応できないことはないよ。おそらく剣や槍などで接近戦で戦う者達よりも君の相手は出来る者は多いんじゃないかな?」
武器を手に持ち身体を動かし接近戦で戦う者たちよりも、魔法を発動するだけの魔法使いの方が早さという点では十蔵に対応可能なのかもしれない。だがそれも一定以上の強さを持っていなければ100%状態の十蔵に反応も出来ないだろう・・・獄殺のカシュ―・ラッツはその一定以上の強さを持っている。
「どうやら君を近寄らせたら駄目なようだ・・・それじゃあこのまま私の研究に付き合ってもらおうか・・・
ピカッ!
光が十蔵を照らす。その光の熱は太陽を錯覚させる超高温を発していた。
「くっ!?」
バン!!
即座に移動した十蔵。しかし一瞬だが光を浴びたため既に腕に火傷を負っていた。これで十蔵は片足と片腕にダメージを負ったことになる。
「では次はこれでどうだろうか?・・・
次に獄殺のカシュ―・ラッツが繰り出したのは炎で作られた動物たち。その種類は犬・猫・虎・鷹・熊・蛇などなど様々。
「なんて数・・・空覇斬!空覇掌!」
脚を振ることで斬撃が飛んでいく空覇斬と腕を振るう事で衝撃波が飛んでいく空覇掌。これらを連発する十蔵。相手は炎のために触れることが出来ずこれで対処していくしかなかった。
「ありがたいね~・・・こんなに粘ってくれると研究のし甲斐があるよ。ありがとう」
十蔵にそうお礼を言う獄殺のカシュ―・ラッツ。いまだに獄殺のカシュ―・ラッツに危機感はない。そんな中、十蔵は無尽蔵のように迫りくる炎の動物たちを空覇掌と空覇斬で消していると一瞬の間が開いた。
「今だ!」
バン!!
十蔵はその一瞬の間を見逃さず炎の動物たちの隙間を潜り抜け獄殺のカシュ―・ラッツの元にたどり着いた。
「おう!」
目の前に十蔵が来ても余裕そうにその一言。十蔵は獄殺のカシュ―・ラッツに初めて攻撃を放った。
「100%パンチ!」
ドグォン!!
十蔵は100%状態でのパンチを獄殺のカシュ―・ラッツに繰り出した。その攻撃は獄殺のカシュ―・ラッツを通り過ぎ後ろの木々までをも薙ぎ倒し続ける。そんな超威力の一撃を受けた獄殺のカシュ―・ラッツはといえば・・・
「これは・・・まさかこれも・・・」
十蔵の100%パンチを受けた獄殺のカシュ―・ラッツは炎となって消えた。すると今まで存在した炎の動物たちも消えていった。
「まさか・・・獄殺のカシュ―・ラッツ自身が有幻覚だったなんて・・・」
今まで喋り魔法を放っていた獄殺のカシュ―・ラッツは岩壁と同じく有幻覚であったようだ。そんな驚いている十蔵。すると十蔵を囲むように何人もの獄殺のカシュ―・ラッツが姿を現す。
「・・・どうせこれも有幻覚なんだろう・・・」
パチパチパチパチ♪
「大正解だよ」
「今僕はこの先にある家で」
「君の様子を見ている」
「さて君は」
「僕のところまで」
「たどり着けるかな?」
「「「研究スタートだ」」」
何人もの獄殺のカシュ―・ラッツが話し始め最後の言葉と共に一斉に十蔵に魔法を放つ。1人は
1人でも苦戦した獄殺のカシュ―・ラッツが何十人と存在する。それに十蔵は本来なら絶望しダメージを負い続けほどなくして死んでもおかしくない。それほどの大ピンチであった。
だが、十蔵は戦っていく中で理解した。
「(弱くなってる・・・魔法の数こそ気を付けるべきだが威力も速度も動きもなにもかもがさっきよりも単調だ・・・これなら!)」
十蔵はどういう原理かは分からないが1人よりも何十人といると魔力や操作に難があるのか今の方が先ほどよりも余裕があった。十蔵は勢いそのままたまに攻撃を喰らいながらも偽物の獄殺のカシュ―・ラッツを消していった。
「「「君は本当に強いね・・・素晴らしいよ・・・」」」
それは3人ほどの獄殺のカシュ―・ラッツが少し離れた場所から十蔵に手の平を向けている場面。
「・・・なにを・・・」
直感が働いたのか冷や汗を流す十蔵。その十蔵の直感は当たることにある。
「「「さて・・・君はこれに私の最強の火魔法に耐えられるかな?・・・
ドゥルボオオオオオ!!!!
「空覇斬!空覇掌!」
シュン
十蔵の空覇斬も空覇掌もその魔法の前には意味をなさない。勢いを止めず地面を消滅させながら迫りくるその魔法。
さすがの十蔵も万事休すか!?
勘違いからの最強物語 プラントスクエア @igo0155
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