正統派ジュブナイルの系譜

 軽快な筆致で、スラスラと読むことが出来ました。すこし不思議な空間を演出する表現も巧く、登場人物たちの掛け合いにもクスッとさせられました。
 ただ、そんなやり取りの中にも本質を突いた問い掛けが何度もあり、今を生きるスーと同年代の、悩める若者には是非読んで欲しい。必ずや思考を先に進める契機があるから。そういった意味でも、この小説は純然たるジュブナイル小説の系譜に連なる作品だと思う。勿論、かつて少年だった悩めるおっさん達が読んでも含蓄深いものがあることは請け合う。

 最後に一言。ウサコが可愛い(笑)