第9話 動植物園の恐怖

 僕は昔から動物園が大好きだった。


 可愛い動物たちはもちろん、季節ごとの色とりどりに咲き乱れる花々や木々。

 飼育員さんや、植木職人さんの手による芸術を、のんびりと眺める至福の時。

 

 そんな一日が、僕にとって楽しみの一つとなっていた。


 

 しか~し。


 あれは僕が初めて動植物園へ行った時のこと。

 ここは動物園と植物園の入口が正反対の位置にあり、共通の入場券を買えば、どちらも入れるお得な場所だ。


 まずは動物園を堪能し、ゆっくり食事をした後、植物園に移動。

 

 ここでは南国の珍しい植物や、貴重な花々が展示されていて、僕の心に癒しを与えてくれる。

 海外旅行はもちろん、国内旅行さえ躊躇せざるを得ない体質の僕を、行った気にさせてくれる場所。

 

 だからこそ、気も緩んでいた。


 これまでの経緯を読んできたあなたなら、わかるはずだ。


 僕は植物園を十分に堪能し満足したことで、そこから出てしまった。


 もちろん、植物園の出口からである。



 あれ……。


 そう思った時には、もう遅い。

 車のある動物園側の駐車場は、この大きな動物園の反対側だ。

 入口にある園内マップを見ると、外周を歩いて移動するには五キロ程度の距離を歩くことになる。

 それも山あり谷ありの、起伏にとんだ道をだ。


 ヤバい……。


 もちろん、入口のスタッフさんに事情を説明して、再入場も考えた。

 だが、入場券には再入場不可と書かれており、そこで僕は迷った。

 

 きっと同じような方がいるはずだから、大丈夫。


 そう思いはするが、当時は気弱なタイプだった。

 そのたった一言が言えずに、モジモジする僕。


 結果、僕が選んだのは、新たに入場券を買うことだった。


 そして、入場券売り場へ行くと……。


「平日の三時以降は、入場券半額です」


 今日が平日で良かった、と本気で思う僕でした。






―――――――――――――――――――――



お久しぶりです、かわなおです。


今回は一年ぶりくらいの投稿となりましたが、いかがだったでしょう。

正直、ネタは腐るほどあるんですが、文章にするのが難しくて……。


例えば、兄の手伝いで、見知らぬ土地へ仕事しに行った時のこと。

お昼時になり、弁当を買ってきてくれと頼まれ、よせばいいのに車でコンビニへ向かった結果。

道に迷って二時間戻ってこなかった僕に兄は、『もうお前には頼まん』って言ってたけど、相変わらず色々と頼まれて、そのたびに何かやらかしています。


いい加減、理解すればいいと思うんですけど、そこは兄弟ならではってことで。

僕も大人になり、自分の力ではどうすることもできない事象があると、気づきました。

迷子症が治らないなら、ネタにしてしまえ。


そんなところです。


ということで、このお話は一旦完結にすることにしました。

また書きたくなったら、連載に戻して追加する感じで考えていますので、よろしくお願いします。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


 


 


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迷子症のキミへ贈る 短編集 かわなお @naokawa

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