第8話 某有名テーマパークへの挑戦

 あれはもう、10年以上前になるだろうか。


 僕は千葉県にある日本一有名なテーマパークへ1人で入場していた。

 当時は10周年イベントを開催中。

 日曜日ということもあり、凄い賑わいだったと記憶している。


 そんな中、僕はチャレンジ精神で果敢にもアトラクションを楽しんだ。

 別にお一人様が禁止ではない。

 誰だって楽しむ権利はあるんだ。


 この無謀なチャレンジ精神により、僕はあとで後悔することになるのだが、来たからには楽しまなければならない。


 まずは近場からと、入場口周辺の探索。

 一人で長い列に並ぶには勇気がいるので、列の少ないものを選び、一度に多くのお客さんを運べる列車や船にも乗ってみた。


 ここはいるだけで楽しい。


 海上でのパレードや、観覧できるステージなどを見ながらウロウロしていると、時間はあっという間に過ぎていく。


 楽しい。


 だから、僕は調子に乗った。


 入口ゲート付近では満足など出来るはずもなく、探索しながら奥へ奥へと進んで行く。

 見えるものすべてが珍しく、ファンタジー世界が大好きな僕の心を奪う。


 そして……迷子になった。


 というのも、僕は入口ゲートの反対側、トンネルらしきものを通り、先へと進んでいったのだ。


 その結果、歩けど歩けど同じ所に出る、という無限ループに陥ってしまったのである。

 

 こんな時に焦りは禁物。

 僕は冷静にと思いながら、抜け出す道を探す。

 けれど、当時は冬で、すでに時計の針は4時を過ぎていた。

 

 ヤバい。


 暗くなったら、もっとわからなくなる。


 だから、僕は焦った。


 でも、結局、同じ所に戻ってきてしまう。

 どこかを見落としている。

 それだけはわかっていた。


 だが、それは何か。


 考えてもわからない。


 そこで、僕は恥を忍んで、妹に電話してみた。


「某テーマパークへ遊びに来たんだけど、出られなくなった。どうしたらいい」


 正直、ここへ1人で遊びに来たことを家族に知られるのも恥ずかしかったが、本当にピンチだったのだ。


 けれど、そう思っていたのは僕だけで、妹からは実に明確な答えが返ってきた。


「スタッフさんが大勢いるから、帰り道を教えて貰えばいいよ」


 ……その通りだった。


 なぜ思いつかなかったのだろう。


 たぶんパニックになっていたんじゃないかと思う。


 僕は近場にいたスタッフさんに帰り道を教えてもらい、無事に戻ってくることが出来たのだった。


 ちなみに、その時気づいたことだが、僕はトンネルらしきところをまだ通っていなかった。

 というのも、僕はこっちへ来た時に、一個目の短いトンネルを通ったところにあったショップで買い食いしてしまい、記憶から消去されていたのだ。

 そのため、戻れる道の手前で曲がってしまい、無限ループへと進んでしまったのである。




 後日、二度目の挑戦で道を把握。

 散々彷徨った結果、他にも帰り道はあったと気づき、その後はもうすっかりそのことを忘れて、楽しんでおります。


 



―――――――――――――――――――――


新年、あけましておめでとうございます。


新作は某テーマパークのお話。

たぶん、名前とかはあげられないと思うので、こうなりました。


一応言っておくと、道がわかりにくい等の批判ではありません。

単純に僕の体質の問題であり、おまけにすぐ調子に乗る。

最悪ですね。

わかっていても直せないのが、残念な性格というものでしょう。


友人たちと出かけていても、常に誰かが僕を見張っていました。

『すぐいなくなる』とのことです(笑)


年齢を重ね、以前よりはマシになったかと思いますが、迷子症って治らないんですよね。




それから、最後にですが……。


どうやら、迷子症のお仲間さんから素敵なレビューをいただきました。

レビューにはお礼が出来ないので、申し訳ありませんがここで感謝を。

ありがとうございます。


実は僕にもまだまだ書き切れないエピソードがありまして、スマホのGPSで検索できる外よりも、建物の中が厄介なんです。

なので、僕も「わかる~」と感激致しました。


これが実話だと信じられない人もいるでしょうが、こんな人もいるんですよ。

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迷子症のキミへ贈る 短編集 かわなお @naokawa

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