雪の中の決意
@lunaticwave
第1話 雪の中の決意
雪がしんしんと降り積もる1月27日、私は通学のバスを待ちながら真剣に考えていた。
A君とLINEの交換をする方法である。
A君とはそれほど話をしたことはないし、家も近くないけど、クラスの中では寡黙な彼が「狙い目」だと思ったのだ。
私の外見はそこまでキレイではなく、化粧をしても自分のカエルみたいな風貌は変わらなかった。対してA君の顔もそこまでイケメンじゃないけど、ほどほどに整っていて、何とか自分とは釣り合いが取れる気がする。
冬休みのプリントの製本を一緒にやった時に話しかけてみたら、意外と見ている動画が被っていて、屈託なく笑うのも良い感じだった。後から考えるとその話が終わった時に、さりげなく聞けば良かったのに……。
「ところで、おすすめの動画が家のパソコンに書いてあるから、後でLINEで送りたいんだけど」とか。
その時はA君とまた話す機会があると思ってた。
でも高校三年のこの時期、受験とか選択授業で、クラスのみんなと会えるのは2月以降はほとんど無いことに気が付いた。
よく考えるとこれまでの人生でA君ほど「もっと近くにいたい」と思えた人は居なかった。
だからきっと、今日A君とLINEの交換をしないと後悔する。
バスが近づいてきた。
私は「はぁ……」とため息をつき、「がんばろう」とマスクの中でつぶやいた。
雪の中の決意 @lunaticwave
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます