第13話 ダマ冷凍食品!!!!

「おっ邪魔するにゃーッッッ!!!!!」

「声デカ...」

「近所迷惑ワンよ。」


 放課後、猫の零と犬の江留と俺で家に集まっていた。


「しずわん〜!」

「?俺の名前、詩月しずきなんだが...」

「まぁまぁあだ名みたいな物わん!ただ単に詩月呼びするとワンが付けれなくてもどかしいんだわん。」

「私はしずにゃん!!だにゃっ!」

「俺も犬とか猫になった気分になるな...人間が恋しい...」

「いや私等人間ですが????」

「そうだったッッ!!」


 二人共よく俺の家に来る。まるで兄妹だ。めちゃくちゃくつろいだりしてるが、こっちはめっちゃ迷惑だ。荒らして回るし、ご飯用意したりしなきゃいかんわけだし。

 ただまぁ、それなら追い出せば良いんだが...お人好しなのか、人間の言葉を喋る奴が居て嬉しいのかはわからんが、追い出しにくくなっている。


「しずにゃん〜...お腹空いたにゃん...」

「はいはい、待ってろ〜。」


 そういいながら俺は冷蔵庫を開ける。

 その瞬間、冷凍食品が喋りだすのだが―――――


「たけねきてのぃおむすな」

「すてぇいるか?いしんやぁころ」

「この...黙冷凍食品だまれいとうしょくひん!!!!!」

「...す...」

「......ぞ......」


 なんと、ダマ冷凍食品と叫ぶとこうなる。

 家庭内でもこう叫んでる家族がいたとしても無視しような。変人扱いすんなよ。

 俺のプリティーキュートな心が傷つく。(キモ)


「よし、任務完了。」

「しずわん...ついさっきの叫びは何わん...?だまれいとうしょくひん...?」

「あぁ、それは言うな。黙れ犬。」

「江留だわん!!!!!」


江留を冷たくあしらうと、今度は零がやってきた。


「しずにゃん?最近疲れてるにゃん?肩揉みするにゃんよ〜?」

「無理いやだやめて俺は勉強があるんだ。」

「速攻拒否!?傷つくにゃッッ!!!」

「お前は鋼の精神だから大丈夫ワンよ!?」

「確かに友達連れてるおじさんに話しかけるなんて鋼の精神じゃなきゃ無理にゃんね!!」

「おい誰がおじさんだ!!ちゅ〜るあげんぞ!!!」


俺がちゅ〜るを片手に持ち上げると、零がめちゃくちゃ暴れ出す。


「いやーーーッッ!!やめてにゃ!!動物虐待!!犯罪者!!誘拐者!!」ドカドカ

「ちげーわ!!虐待じゃねーしお前らが居候みたいなことしてんだろーが!!犯罪もお前らのほうがよっぽどしてるんじゃねーの!?」

「確かにわん...」

「江留〜ッッ!!納得しないでにゃーーーー!!!犯罪も人のもの盗んだり爪で引っ掻いたりしたけど猫と犬だからセーフにゃ!!」

「お前ら本当に人間か??」(見た目動物だけど)

「今は動物だから許されるにゃ!!」

「いやそんな訳無いわん?!」


(少し楽しい気がする。たまには騒がしいのも良いかもな。)


「しゃーねーな。ほらちゅ〜るちゅ〜る。」

「にゃ〜...うみゃそ...」


グ〜と俺のお腹が鳴る。


「俺もお腹すいたわ。これは勝手に食べてろ。」

「わ〜い!!ペロペロ」

「しずわん〜!!僕にもごはん〜!!」

「はいはい、ついでに持ってくるから待ってろ。」


冷蔵庫を開ける。まだ黙冷凍食品の効果は切れてなさそうだ。

右上らへんにあった自分用に買ってきた冷凍食品を手に取る。この時適当に選ぶので、今日の飯はランダムだ。

(今回は...チャーハンか。)

正直好きな飯だから今日はアタリだ。肉の硬さと野菜のシャキシャキが美味しく、それを柔らかく包むごはんは最高だ。

冷蔵庫を閉める。今度は隣の棚を開ける。

ドッグフードの箱と皿を取り、机に置く。ドックフードを皿に入れて、皿を江留に渡す。


「ありがとうだわん!」

「よく噛めよ。」

「そんなの出来ないわん!腹減ってる僕の気持ちにもなるわん!!」

「俺でもしっかり噛むぞ。」


ドッグフードの箱を棚に戻し、自分はチャーハンを電子レンジでチーンする。


「たああすけてええええええええええええええ!!!ぎゃあああああああ!!!!!あっつい!!あついッッ!!!!いやああああああああああ!!!!」


久しぶりの電子レンジの悲鳴を浴びながらも、なんとか温め終わらせた。

鼓膜が地面に叩きつけられそうになるくらい凄まじい叫びだった。


「ぱくぱくむしゃむしゃ」

「おかわり!にゃ!!」

「こいつら本当によく食べるよな。年齢的にもう成長期超えてそうなのに。」

「変身で体力めっちゃ使うんだにゃ!お前には一生わかんないにゃ!にゃーっはっはっは!!」

「腹立つ...あとでぬっ56してやらぁ...」

「お、やんのか?にゃー。」

ねこごときが人間に勝てると思うなよ!!」

「おぅにゃ!!こっちこそぬっ56すぞ!にゃ!」

「語尾のせいで優しい言い方になってるわん...」

「おぅrrrrrrrらぁぁぁああああ!!!!」

「ごrrrrrrrrrrrrrrrrrrらぁぁああああ!!!にゃん!!」

「それただの威嚇わん。もしや喧嘩知らないわん?」

「いや知ってるにゃよ?喧嘩っていうのは、勉強をすることにゃん!!」

「いや、喧嘩って川で泳いで競争することじゃね?」

「...」

「...」

「...」

「ケーキ食べるか。」

「食べるにゃ!!」

「よろしい。わん。」

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無機物の心 空野 猫 @soranoneko

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