第24話 花音
「いやよ」と目の前の武道少女は、僕たちの期待の眼差しを意に介さず自らに意思をはっきりと提示した。
蘆屋が何とか説得しようとするが取り付く島もない。どうしてこんなに拒否するんだろう?
「なんでだよ。お前、最初は参加予定だっただろ?」
「理由は、一つ。雷斗あんたがいるからよ。いないなら喜んで参加するわ」
僕は、今菩薩のような顔をしているだろう。何でかって?蘆屋の嫌われ具合にあきれているのだ。蘆屋くん?この人に何したの?こんなに嫌われるなんて相当なことだぞ?
仕方ない、知り合いだからということで任せたけどこりゃだめだ。
「すみません。花音さん、あなたの魔術が必要なんですよ」
「あなたは、噂の転校生ね。雷斗をしばきまわしたって子だ」
「ええ、まあそうなんですけど」
何!?噂って何!?怖いんだけど!
「そうか、転校生君のもいるのか」
お?好感触。このまま押すぞ!
「で、やっぱり駄目ですかね?」
花音さんは、少し考えた後に
「私に勝てたら考えたげる」
そう告げた彼女の眼は自信に満ちていた。
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模擬戦場の使用許可をもらった僕たちは、位置につく。ランダムで選ばれた地形は森林。木々に囲まれ視界は良くない。周囲の把握もほどほどに準備完了の意を示す。システムが思考を読み取りカウントが始まる。
3
2
1
GO
蘆屋を蚊帳の外へと追いやり僕たちの模擬戦は、始まった。
ギブン・ウィル キノ @-kinoppi-
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