断章『襲来!ラバピカ星人』
22【夜深〜よみ〜】
ルルイエでの戦いを終え、六月の蒸し暑さを乗り越え、夢咲町にも例年通り夏が訪れた。時にして七月、気の早い蝉がそろそろ出てくる頃合いか。平穏を取り戻した双羽は夏休み前の期末試験に追われる日々を過ごしていた。
相変わらず、跳ねても揺れない大平原を引っ提げ、家を——ロイヤルシャトーカピバラを出た双羽。本日は試験の最終日である。
「うおおおお、今日さえ乗り越えれば夏休みですっ! 気合いで乗り越えてみせますよー!」
と、その時、
『げっししし〜、いたぞ、あの女だげし!』
『いい大平原を持ってやがるげし〜』
いつの間にか双羽を取り囲むのは、カピバラのような、カピバラではない、しかしどちらかと言うとカピバラに近いカピバラではない謎のカピバラ的な奴ら、以外カピバラ——補足するなら、人型のカピバラ達が取り囲んでいた。
「な、何者ですか⁉︎」
『げしげし、我々はラバピカ星人。大平原を求め宇宙を旅する者げし』
「大平原?」
『そう、ちょうどお前のような!』
「はっ! 目線がえっちです! おっ◯い見ないでください!」
『ぎゃはははっ、どこにそんなものあるんだげし! だが、我々のボスはそんな大平原が大変好みでげし! お前の大平原を魚拓にしてコレクションにしたいと仰っておられるげし』
周囲のカピバラ達が双羽を取り押さえる。助けを呼ぶが誰も反応しない。まるで、この場所だけ時間が切り取られたかのように。
「くっ、は、はなしてくださいっ! 試験に間に合わないじゃないですかー!」
『ひゃっはー! リーダー、この女、ブラつけてませんぜ!』
『それはまことか! どれどれ、我が直々に調べてやろう、げっしっし』
「ぎにゃー! 辞めてくださーい! 誰か助けてくださーい!」
万事休すか。
カピバラリーダーの指先が、大平原の先端を突く寸前、ギリギリのタイミングで、何処からともなく声が響く。
——夢咲町に悪が蔓延る時、どこからともなく少女は現れる
——人々は彼女をこう呼んだ!
「ダ◯ソンのステッキで変身するの〜」
少女を光が包み込み、シルエットが映し出される。
「悪の秘密げっ歯、ラバピカ星人を倒すため、お家からこっそり出て来た、きゅーいん力のかあらない、ただ一人のまほー少女! ショゴスちゃん降臨! テケリ・リー!」
現れたのは、魔法少女となったショゴスちゃんだった。
「ぺたん娘だけを狙う変態げっ歯ラバピカ星人! 覚悟するの」
『げしげし! このぺたん娘がどうなってもいいのか? どうだ、攻撃出来まい!』
「くっ、ふたはがぺたんこじゃなかったら、こんな明太なんか倒せるのに」
『明太ではない、変態だ!』
散々言いたい放題言われ、何だかどうでもよくなり始めた双羽はさておき、魔法少女ショゴスちゃんとザコカピバラ達の戦闘が始まる!
ショゴスちゃんは華麗なステップで次々とザコカピバラを駆逐し、結局は双羽を拘束したリーダーカピバラのみとなる。
『どうした、このぺたん娘を助けたければ、そのステッキを地面に捨てて両手をあげろ、げし』
「むむむ、わ、わかったの、テケリ・リ」
ショゴスちゃんはステッキを地面に放り投げ投降するしかなかった。双羽の胸は魚拓にされてしまうのか……宇宙の変態のコレクションになってしまうのか……絶望的なシチュエーションに誰もが魚拓に期待——違った、誰もが諦めかけたその時だった!
ザン!
風が吹き抜ける。と、同時にリーダーカピバラの片腕が吹き飛び、双羽が解放された。
ぽとり、と、地面に着地した双羽はすぐさまショゴスちゃんの元へ駆け寄り「ごわがっだでず〜」と、泣きついた。
『ぐはっ、な、何者だげし!?』
切り離された腕は虚空に消える。リーダーカピバラは自らの腕を斬った何者かを視界に捉えた。そこには、黒いワンピースの少女がいた。
「訳あって、魔法少女をしている。悪いが、お前には消えてもらう」
少女は日本刀のような得物をラバピカ星人に向ける。睨み合う二人。その均衡は、ラバピカ星人が崩した。
『げしー! 究極のおっ◯い魚拓コレクション収集の邪魔をした者は始末するげし! 喰らえ! ラバピカビーム!』
放たれるビーム。少女はそれを受け止める。しかし、巨大なビームの威力は侮れない。少女は徐々に後退を余儀なくされる。
『よく見るとお前も中々の魚拓向きおっ〇いでげしね! 身包み剥いでコレクションにしてやるでげしよー!』
「コレクション……くだらないわね。やはり、お前を生かす理由はなさそうだ」消えろ、と付け加え少女は刀を振り上げた。
『げ……し……?』
両断。ラバピカ星人は見事に両断され、やがて塵と化し消えてしまった。
双羽は少女にお礼を言ったが、彼女は何も言わずにその場を去った。
彼女の名は、
夢咲を守る魔法少女である。
そして、彼女の物語は、また別の機会に。
次回、二章突入
イタズラしないでショゴスちゃんっ! 超!カピバラ @kappivara
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