作者の方が公開しているイラストを拝見したときから、とても楽しみにしていた作品です。
頭に羽耳を生やし、きれいな楽器を抱く着物姿の女の子。でも表情は物憂げで、きっとなにか訳ありなのだろうなあ……と思ってどきどきしながら読み進めていくと、やはり。
神秘的な島から物語は始まりますが、登場人物たちにとってそこは鳥籠だったのですね。
美しい景色の中、ちょっと変わったイケメンと出会うことで物語は大きく動きはじめます。彼によってヒロインは鳥籠を脱出するわけですが、やはり運命を切り開いていくためには彼女の意思の強さが重要であることが示唆されてます。
二人の甘~いやり取りがずっと続いてほしいと思いつつ、このまますんなりとはハッピーエンドにたどり着かないのだろうなあという予感がしています。
運命を切り開いていくヒロインとヒーローの姿を最後まで見届けたいです!!
作者様が書かれる世界観や情景の描写が大好きなのですが、本作もすばらしすぎて何度も溜息をつきました。
序盤からぐいぐいと読み手を魅了する筆力の高さは、なぜ書籍化されないんだろうと思えてなりません。
ヒロインとヒーローが遭遇するシーンも見事で、ヒロイン・オトの暗鬱とした心情と鮮やかな色彩とのコントラストにとどまらず、華やかな異国の地へと想いを馳せながらも狭い「鳥籠」から飛び出せぬオトの閉塞感が絶妙に絡まります。
和風ファンタジーの中に突然に現れる大陸人、淡い金髪のヒーロー。
ある事情から相貌はわからないのですが……明らかにキラキラオーラを纏っている。
まだまだ序盤であるにもかかわらず、散りばめられた伏線の数々にもはやドキドキがとまりません!
短編にとどまらず、是非とも長編化いただきたい作品です。