解説
こんにちは、または初めまして、ハナビシトモエと申します。
今回は解説編です。
少し時間があるので書いていこうと思います。
読者の方の中には分かっていらっしゃる方もあると思いますが、雲現人神は水神や雷神ではありません。
人が人柱になって、人柱になった人を祀っているのです。
少し難解ですね。
元々、この焼村という土地は雨が降らなかった。どうしようもなく無くなった時に村の指導者がどこかで聞いた伝承を村の人に告げました。
「巫女を捧げたら、村に雨が降るかもしれない」
そして運良く、当時低気圧が来ていたという偶然で雲神は生まれました。元は雲神だったわけです。
雲すら無かった村に取って、雲は希望の光となりました。
さて、雲神なわけです。
それから数年経ち土地は干上がり、飲む水に困るようになりました。昔の記録を読んで雲神を呼ぶには巫女を捧げる必要があるということを知ります。
巫女は処女で無いといけません。雲神に捧げるのに男性経験があってはなりません。
そこで巫女は自分の運命に絶望を覚え、こう言ったのかもしれません。
「わらわは雲現人神である」と。
罪悪感か巫女の言うことに恐れをなしたのか、巫女は雲の神を現わす人の神。雲現人神として伝わることになります。
では何百年も焼村の人々が毎年雲現人神を出したのか、そうではありません。
村の老人たちは決断を出来たのはその時にたまたま男性経験の無い瑞香がいたということです。
証拠に村の人々はかめを用意しています。少しでも雨が降る可能性がある時に軒先にかめを置き、水を貯める工夫をしていたのです。
そうなるとある可能性が出てきます。
雨は全く降らないことは無いが、中々たまらない。でも記録によると巫女を出した時には比較的たくさん降った伝承がある。
それを勘案し、一人を助けて四人を捨てるか、四人を助けて一人を助けるかの決断をした。そして、男性経験の無い瑞香を雲現人神にし、村に雨を降らそうとしたという経緯です。
もちろんこの事は記録に残り、焼村では今後また水が無くなれば、男性経験の無い女の子を雲現人神にするでしょう。
智は再び村に戻った時に、水道管が設置されていると感じました。雲現人神を出さずとも生きていける様に働きかけをしたのでしょう。
この様な人柱伝承は日本では残っていて、橋が壊れない様に人を埋めるなど記録もあるそうです。その様な伝承を意識しました。
瑞香の塚は変化してきた倫理観や四人の為に一人を犠牲にしたことへの罪悪感でしょうか。
最後に智は村を逃げる様に後にします。それは焼村の恐ろしさというよりは妹の死からへの執着や眠る妹の墓をあばいた和春の立ち振る舞いだったかもしれません。
遺骨はどうしたのかはみなさんにお任せします。
ハナビシ
雲現人神の巫女 ハナビシトモエ @sikasann
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