様々な名作における「脇役」「やられ役」にフォーカスしてピックアップする、面白い試み。
普通ならサッと流してしまうようなキャラにも焦点があたり、「自分も注目してた~!」というキャラに言及されると嬉しくなりますし、共感もあれば「なるほど、そういう視点も!」と思える……やっぱり楽しいんですよね、オタトークっていうのは……!
語り出せばキリもないほどなので、とにかくレビューとしては、
「私的に推しの回を三つ!」下記に要約させて頂ければ!(ネタバレは極力避けつつ)
1.延長戦⑦ ドットーレ(からくりサーカス)
共感が特に強かった回。本当、「最古の四人」の他の三名に救いがあった中、作中での「やらかし」が強烈すぎたために……しかしそれも「やられ役」の美学、だからこそのインパクト……!
また最終巻のカーテンコールにも言及してくれて、そこの感動を共感できたのも推しの理由の一つ。本当あのカーテンコール、感動ですよね……「サーカス」というテーマにもジャストフィットする……(涙)
2.延長戦⑧ 斗和子(うしおととら)
「そういう視点が!」と刮目した着眼点の妙。なるほど確かに、白面の「九本目の尾」と「キリオ」を結び付けると、一気に深みが増してくる演出だった……面白い視点、こういう気付きもオタトークの醍醐味!
3.番外編① 脇役、やられ役モビルスーツ:(機動戦士ガンダム)
ウワーッ「ヅダ」! 「ヅダ」に言及してくれている――!
私も好きなんですよ「ヅダ」、とにかく速度というスペックを追及して、でも結果「乗るパイロットが負荷に耐えられない」というピーキーすぎる性能! そこにこだわって命を賭けたテストパイロットのストーリー含めて大好き!
まさかこの機体に言及してくれるとは……という感動もありました、フフフ……。
いえ本当、オタトークは楽しいですよね……それに作者様が「どういう好みなのかも分かる」というのも面白いポイント。
もしこの「愛すべき脇役、やられ役たち」を読んで、共感するものがあれば……同作者様のオリジナル長編作品も、お読みになっては如何でしょう……?
きっと、趣味の合う作品があるはず……さあ、是非とも沼にはまりましょう……(手招き手招き……)
あまりエッセイや創作論にレビューすることはなかったのですが、今回はご紹介したくなりました。
多くの漫画・アニメを視聴された作者様が『脇役・やられ役』について語っております。しかも、ただ『このキャラクター好きー』『ここ良かったー』と言うだけではなく、その物語がどういったメッセージ性を持っていたのかを考察して、それを語る上で当該の『脇役・やられ役』がどのような役割を担っていたのかを深く解説されています。
物語を創作するにあたって『主人公の活躍』というものは大きく重視される要素ではありますが、それだけでは面白い物語は出来上がりません。こういった『物語全体でのキャラクター役割』というものを考えていくのも、創作活動に必要なんだと改めて思わされました。
作者様の主張も共感できるものが多く、とても面白いです。
本当に幅広いジャンルの漫画・アニメを語っておられるので、見知ったキャラクターが一人はいることでしょう。ちなみに私は藤田和日郎作品の大ファンなのでドットーレが語られた時点で⭐︎3つは確定しておりました。
オススメです。