第40話 sideC=紙

 紙様は二人の様子を見ていました。

 男は女の運命を帰るために、女はその運命を知らないがゆえに今を生きている、と。

「永遠の愛を誓った男と今この瞬間を見続けて女。どちらかが今後、変化が起きるのかのう」

 紙様あ二人の様子を面白おかしく見ていました。

 紙様が男に施した通過之眼は、前世から今世そして来世まで見ることができる、魔眼。

 そして、魔眼を使う者は必ず運命に翻弄されると決まっている。きっと二人の行き着く先がけっして順風満帆ではないことを知っているからでした。

「楽しみじゃのー。楽しみじゃ」 

 紙様はカカカ、と笑いこけました。

「これだから、人間からは眼が離せんわ」

 紙様はにやりと笑みを浮かべ、

 二人の様子を見続けました。

 それは紙様の気まぐれ。

 紙と契約し、女の運命を帰るために魔眼を使う男とその男と側にいようとする女の物語は、一旦ここで終わる。

「二人にはこれから艱難辛苦が訪れるだろう。それでももしも困難を打ち破るのなら、そんな運命さえ打ち破るのならば、それはもはや奇跡だ。

 奇跡が起きる瞬間、それを見たい。

 たとえ、おぬしらが、もう一度くっつこうか、離れようが、どうでも良い。

 この蟻地獄のような障害をどう乗り越えるか、見ものだな。カカカカカ」

 紙END

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詩翔雪極(ししょうせつきわみ)と友愛 永遠在生人 @Zinn818

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