第7話

 それから先生を呼び、律子の手当をしてもらっている間、狭山はずっと凪の隣にいた。

 凪は辛かったが、律子の怪我が大事ではないと知ったのが、一番安心だった。

 祭が終わり、皆で施設に引き上げる。

 班の違う狭山と伊藤は、もうそばにはいなかった。凪は律子に肩を貸しながら、歩いていた。

 キャンプも今日で終わりだと、はっきりと意識した。


 池のもとに差しかかった時、後ろから誰か走ってきた。

 

「――」

 

 その人はささやいて、走り抜けていった。

 瞬間、あたりが一斉に明るくなった。

 それは、無数の小さな光だった。

 周囲の皆は、全く気に留めた様子もなく、歩いている。けれど、凪には感じていた。


「私も好き」

 

 光が、あたりをひらひらと照らす中―― 凪は走っていった背に、そう返した。 

 

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ホタル 小槻みしろ/白崎ぼたん @tsuki_towa

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