第10話 再戦

「雷牙!?」

 

 嬰疾が一にその事態に気づき、再び双剣を抜刀して、悠人へ攻撃を仕掛ける。悠人は手を翳し、嬰疾の攻撃をいとも簡単に防ぐ。

 

「こいつっ!」

 

「…………」

 

 悠人は雷牙の首を強く絞めて刻み血を垂らさす。嬰疾は雷牙を救う為に悠人へ攻撃を繰り返すが悠人には少しも攻撃が通らない。

 

鳴動影めいどうえい

 

 鳴動影は詠唱で嬰疾の影から現れ、嬰疾の身体を瞬く間に拘束させる。

 

「無駄」

 

 嬰疾は抵抗しようと身体の全体でもがくがそれはなんの抵抗も成すことはない。

 

「死にたいの?」

 

 悠人は嬰疾に目を当てて、無表情のままに口を開けていた。そしてその顔は軈て、黒い笑みを浮かべる。

 

「悠人……?」

 

 悠人の行動に危機感を感じたのか、竜眞は弓矢を構え始める。鳴動影を狙う。ただし、その間に鳴動影は竜眞に迫る。

 

焔の一矢ファイア・ワン

 

 竜眞の矢先に火が纏う。そして放たれた火矢は嬰疾を拘束する鳴動影を目指し空を走る。だが、火矢は悠人の影から現れた鳴動影に阻まれる。

 

火炎刃インフェルノ・ソールド

 

 竜眞はその能力を詠唱すると手に燃え続ける洋刀が現れる。

 

闇龍てめぇがいなけりゃいいのによっ!」

 

 竜眞は嬰疾を拘束している鳴動影を切り裂き、嬰疾の身を解放させる。二人は悠人もとい水晶闇龍を睨める。

 

「闇龍、覚悟しろ」

 

 闇龍は雷牙を地面に投げ捨て、悠人よりしろの身体で軽く首を回して、懐から短刀と拳銃を取り出し、構えをとった。

 

「さあ、殺しに来いよ」

 

 竜眞と嬰疾は悠人に向かい、一気に二対一の戦線を繰り広げるが、鳴動影で刃渡りを伸ばした短刀で二人の剣を防ぐ。

 

「それだけ?」

 

 依代は悪笑みを浮かべて、銃を持った手で銃を落とし、後ろに振りのちに詠唱を開始する。

 

骨状氷柱ボーンアイス

 

 手を振るうとその方角に骨の様に鋭く枝分かれしていく氷が突き刺す様に二人へ刺し目指す。

 

「やべっ!」

 

 竜眞は避け遅れてしまった。嬰疾が手を伸ばすも遅くて、竜眞は骨状氷柱ボーンアイス真面まともに被ってしまい、胴体に大きく切創を負い、地に伏してしまった。

 

「竜眞!?」

 

「……終わり?」

 

 依代は物足らぬ声で、拾い直した拳銃で竜眞の頭を狙う。

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セストロピア旅行記 外伝 柱木 白獣 @HakujyuHashiragi

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