第5話

友人たちと別れ、家に変えてきたマモル。


「ただいま」

「お帰りなさい」


家の奥から小さく母の声が聞こえる。

家の中を進み、台所で食事の用意をしている母に声をかける。


「何か、手伝うことある?」

「夕食の下準備しているだけで、もうすぐ終わるから大丈夫よ」

「今日の夕飯は、なんなの?」

「鶏を1羽買ってきたから、鶏肉料理をいろいろ作るわよ」

「鶏肉料理かぁ、楽しみだな~」


台所から縁側に移動して、庭を見ながら、今日のスキル判定式のことを思い浮かべる。

マモルは、村人が使用できる簡単な魔法は見たことがあったが、あんなに魔法陣がはっきりと見える魔法は初めてだった。


「やっぱり、魔法を使ってみたいな。15歳になったら、魔法も解禁されるはずだし、来年になったら魔法について学ぶ方向で行こうかな」


将来の方向性を考えてみるが、高度な魔法を学ぶには都市など人が多いところでないと学ぶことができず、またお金がたくさんかかるらしいので、難しいだろうと心の中では思ってしまうマモルだった。


「太陽も落ちてきたし、あともう少しで、夕暮れだな。あまり期待はしてなかったけど、やっぱり【スキル】はなかったかな」

「まずは、南野山で薬草を採取しつつ、どんな仕事をしたいか考えるか。薬草を薬屋や行商人に売ったりすれば、お金も貯められるだろうし」


「おーい、お邪魔するぞ」


今後の動きを考えながら、過ごしていると、玄関のほうから村長の声が聞こえてくる。

マモルはその声に吃驚したが、期待を大きくしながら、急いで玄関に走っていく。


「村長!!」

「マモルよ、家の中で走るでない」

「まあまあ、今日は特別ですし、許してあげましょう」

「ええと、神官様いらっしゃいませ」

「はい、こんにちは」


マモルは慌てながらも、神官に挨拶をする。


「あの、神官様がいらっしゃたということは、僕には【スキル】があったということですか!!」


先ほどマモルは、期待してないと口ではそういっているものの、【スキル】によって人生が変わる可能性があるため、やはり期待していた部分があったようだ。


「はい、マモル君には【スキル】があると、先ほどの【鑑定】魔法で判明しました」

「本当にですか」

「本当です」

「やったー!」


両手を上げて喜んでいるマモル。


「ほれ、神官様を玄関で立たせておくではない」

「そうだね。神官様、こちらへどうぞ」

「はい、ありがとうございます。では、村長はこちらで帰宅いただいて構いません」

「そうですね、帰らせていただきます。マモル、神官様のことよろしく頼むぞ」

「はい、わかりました。村長、さようなら」


村長に挨拶をし、家の中に神官様を招き入れ、居間に移動していくマモルであった。



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