第4話
神官であるコウヘイが呪文を詠唱していると、机の上に魔法陣が現れ、輝き始める。
マモルはその光景に目が奪われながらも、じっと動かないように気を付けていた。
「【鑑定】魔法発動!」
長い呪文詠唱が終わり、発動の掛け声とともに、魔法陣は虚空に消えていく。
その光景を見ていると、神官がマモルに声をかける。
「はい、これにてスキル判定は終わりになります。スキルが確認できた場合は後程家に伺います」
「ありがとうございました」
「では、テントから出ましょう」
結構あっさりと終るんだなと思いながら、マモルは礼を言い、席を立ち、神官とテントを出ていく。
広場に戻ると、そこには全員が待っており、村長が出てきたことを確認すると、近寄ってきて神官に声をかける。
「神官様、全員無事に終わりましたでしょうか」
「はい、問題なく完了しました。」
「ありがとうございました。では、スキル判定式は終わりにしましょう。お礼品は各家庭からお預かりしていますので、お納めください」
村長がお礼品が置いてある隅のほうを指しながら、お礼を言っている。
「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございました。スキルが確認できた方の家には、後程伺いますので、よろしくお願いします。」
「では、皆この場は解散となる。各自、家に帰り、神官様の来訪準備はしておくように」
神官と村長は、お礼品を持ち、村長宅に帰っていった。
「これで、終わりなんだね。随分あっさり終わるね」
「まあ噂によれば、王都や大きい都市ならもっと大きな祭りとかになるらしいけど、うちの村レベルならこんなものだよ」
「そうなんだ。だから、兄さんたちのときの印象がないんだね」
「このあとは、私は、家で準備するから、他の子と少し話したら早めに帰ってくるんだよ」
「わかった」
他の家庭も同じようで、母親だけが帰宅していっている。
ヤオヤ、ヒカル、マモルは集まり、スキル判定式の感想を言い合う。
「ヒカルとマモルは、テントの中ではどんな感じだった?」
「だいぶ緊張してたし、失敗したくないから、目を瞑って動かないようにしたよ」
「僕は、魔法陣は綺麗だったけど、なんかあっさり終わった」
「俺は、実際に受けていた時は、時間が長く感じたが、外で待っているときはそんなでもなかったんだよな」
各々感想を言いながら、確認していく。
「神官様から何か言われたこととかあったか。俺は、神官様や村長が初めにいった流れ以外は何にもなかったけど」
「僕も、それ以外は注意点くらいで会話らしいものがなかった」
「僕もそうだね。なんか形式が決まっていて、誰にも同じ感じかな」
「じゃあ、スキルがあるかは、やっぱり夕方になるまでわかんない感じか」
残念そうに言うナオヤ。
そこで将来のことがすこし気になり、確認してみようと思うマモル。
「2人はさ、将来どうするか決まっているんだっけ?」
「俺は、スキルがあったら、そのスキルで何かやりたいし、なければ実家の肉屋を継ぐ感じ」
「僕は、スキルが有ろうと無かろうと、薬師になるつもりだよ」
「そうなんだね。やっぱり明確に決まっているね」
「まあ、俺たちは長男だからな。家業が嫌いじゃなければ、ほぼ決まり切っているからな。まあ、俺の場合、弟に継がせることもできるから、選択肢はあるけどな」
「僕は、薬を作るの好きだからね。家業を継ぐよ」
ナオヤの実家は肉屋で、ヒカルの実家は薬屋のようだ。
ナオヤはまだ確定はしていないが、ヒカルは確定のようだ。
そのことを聞いたマモルは、自分の今後を伝えていく。
「僕は、家業継ぐのは無理だから、たぶんこの村は出ることになるね」
「そうか。なにか、手伝えることあれば言えよ」
「うん、僕も協力するからね」
「ありがとう。なにかあれば、お願いするよ」
そのあとも、3人は、わいわいと会話していくのであった。
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