いけいけ勇者様25

最上司叉

第1話

【バタ】


家の前で誰かが倒れる音がした。


不審に思った俺はすぐに確認しに行く。


【ガチャ】


ドアを警戒しながら開けた。


すると目に飛び込んできたのは傷だらけのチビ勇者だった。


俺は慌ててチビ勇者に駆け寄る。


「どうした?誰にやられた?」


「…」


チビ勇者は答えられる状態に無かった。


俺はすぐにチビ勇者を家の中に運び込みベッドに寝かせすぐに医者を呼びに行く。


何があった?俺は医者を呼びに行く途中に考えていた。


【バン】


俺は勢いよくドアを開け叫んだ。


「先生!!急患だ!!」


「どうした?!」


先生は慌てて奥から出てくる。


「すぐに家にきてくれ!!」


「分かった」


先生はすぐに必要な物をまとめて出てきた。


「急ぐぞ」


俺はそう言いながら先生と走り出した。


「何があった?」


「分からない」


俺たちは走りながら会話する。


家まではすぐそこだが生きた心地がしなかった。


俺たちは家に着くなりチビ勇者の所へ向かう。


皆不思議顔だ。


「チビ勇者!!」


「…」


意識はまだない。


「先生早く!!」


「どれ見せてみろ」


そう言うと先生は診察に入った。


その数分間が俺には凄く長く感じた。


「ふーむ」


「先生どうなんだ!!」


「…」


「先生!!」


「ハッキリとは分からないが何かの毒にやられている」


「毒?」


「そうだ、外傷は大したことない」


「待ってろ!!」


俺はそれを聞いて魔法使いをすぐに呼んだ。


「…」


「どうなんだ!!」


「これは凄く珍しい毒だね」


「治るのか?!」


「手は無いわけでは無い」


「じゃあ・」


そう言いかけた俺に魔法使いが言い続けた。


「今持ってる素材では毒の進行を遅らせることしか出来ない」


「何だと」


「これから俺が言う物を集めてくれ」


「分かった」


そう返事したが一筋縄ではいかない素材ばかりだった。


【聖女の涙】


【ドラゴンの鱗】


俺は皆を集めて事情を説明して二手に別れて素材を取ってくることにした。


聖女の涙は乙女の血であるが国の国王の許可を貰い乙女の居る塔まで行かなければならない。


ドラゴンの鱗は文字通りドラゴンの鱗だ。


ドラゴンを倒す必要がある。


俺と魔王はドラゴンを倒しに行く。


婚約者と盗人は聖女の涙を取りに行く。


婚約者は初め文句を言っていたが渋々承諾した。


俺と魔王は早馬でドラゴンの谷へ急いだ。


婚約者と盗人は国王の許可を取りに国王へ会いに行く。


「待ってろよチビ勇者」


俺はそう言いながら馬を駆けた。



【ヒュー】


ドラゴンの谷に着いた。


風が強い。


俺は魔王に行くぞと言いながらドラゴンの巣へ急ぐ。


【ゴーーー】


「止まれ」


魔王にそう言いながら俺は剣を抜いた。


「いる」


「あぁ」


とそこへ突風が吹き霧が晴れる。


「行くぞ」


目の前にはドラゴン。


一刻も早く鱗を持ち帰る必要がある。


話の通じる相手ではない。


「…」


魔王が呪文を唱えた。


ドラゴンの体に暗黒の光が突き刺さる。


【ギャーー】


ドラゴンが悲鳴をあげる。


俺がその隙をついて突撃していく。


ドラゴンが俺を見てシッポでなぎ払おうとした。


俺はそれを交わしながらドラゴンの喉元へ剣を突き立てる。


【ギャーー】


ドラゴンは倒れたが今度は口から咆哮をだそうとしている。


「させない!!」


魔王は呪文を立て続けに唱えた。


ドラゴンに魔王の魔法が立て続けに襲う。


【バタ】


ドラゴンが大人しくなった。


「やったのか?」


「うん」


「早く鱗を取ろう」


「そうだね」


俺たちはドラゴンの鱗を1枚剥がすとそれを道具袋に入れて立ち去ろうとした。


「待て」


「?」


俺たちは訳も分からず振り返るとそこには女が立っていた。


「誰だ?」


「何故妾を倒した?」


「?」


「妾は今戦ったドラゴンだ」


「?!」


「どうした?はよ答えぬか!!」


「仲間が毒に侵されている」


俺はそれだけを告げて帰ろうとした。


「待て、そうか…ならば妾も行こう」


「?!」


「なんだって」


「そうと決まればはよせい」


俺はドラゴンの女に引っ張られて行く。


魔王は呆気にとられている。


そしてまた1人愉快な仲間が増えたのだった。





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