第20話 猫の化け物

その時、突然として魔法の扉の存在を思い出した。

しかし、もう遅かった。

私は永遠にこの世界から元の世界へ帰ることは出来ないのだ。


暗闇の中ただ一人。私はこの絵画の世界へ閉じ込められてしまった。

これは以前旅をした世界とは全く異なる、新たな絵画の世界だった。

私の瞳に映るのは、ぼんやりと歪んだ岩の姿だけ。


私はただひたすらに、目の前の私は道なき道を歩き続けた。

目指す場所も手掛かりも無いまま、私は家路を辿った。

____________


突然足元に視線を落とすと、背丈の低い白と黒色が混じった猫が私をはっきりと見つめていた。

猫は小さな低い咽頭を呟くように鳴らす。


私は薄らと猫が何か喋っているかのように感じた。

その時、猫は「にゃぁっ」と声を上げる。


「こんにちは...私は菜佐って言います」私は猫に向かってハキハキとした口調で言った。

それが何かの合図だったのか、その時猫の姿が少しずつ転化していった。



「え?貴方は何なの?」風に吹かれながら、私は驚きを隠せずに言った。

霧は少しずつ薄くなってきた

その時、猫から人間のような深い声がした。

「俺がそれを聞きたい。誰だ...お前は?」

「へ?」

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百円の絵画【祝・1700pv・☆90突破!】 モリイ @moriikunosusi

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