第25話「夫失ウ」
夫失う、夫失う
マタ失ウ私ノ大切ナ夫。
ドコヘ行ッタノ?分カラナイ?
私ハ許サレナイ。永遠二。
〇
私が辿り着いた村には祟りがある。それはこの村の中で浮気をすると、永遠に呪われるというものだ。
私は門番の警告を聞き流し、例の村へ立ち入る。近くにはもう村が無い。ここでしか夜を越すことが出来ない。
ちなみにその村の名前は漢字一文字でこう書いてあった。
「失」と。
私はその日、とある女性の家族になった。彼女の名前はイル。彼女はこの村の祟りに悩まされていると私に明かした。
「私は祟りによってこれまで数多くの愛人を失った。」
彼女は昔、浮気をした。その時祟られたそうだ。
「大丈夫ですか、お嬢様。」
彼女には今、愛人がいる。彼女は祟りを恐れていたが、とあることを思いついた。
今まで数々の夫を失った。祟りの詳細は分からないが、記録によると大抵が女性で、彼女らは揃って夫を失っている。
彼女は考えつく。ならば相手が女性なら失わずに済むのではないかと。
お相手はオルという女性だった。イルとオルは明日結婚する。今まで通りだと、愛人は結婚式の日に喪失している。明日何事もなければ失わない。そういうことだ。
「アル、結婚おめでとう。」
彼女の結婚を心から祝う者がいた。彼の名前はナク。彼はイルのことを愛していた。
イルはアルのことが好きだ。でもそれ以上にナクのことも好きだった。
でも愛せない。失うから。家族にはなれない。
彼女は祟りを恨んだ。
夫失う。夫失う。
⚫
結婚式当日。アルは、姿を、消した。
祟りだ。祟りだ。
イルは狂うように言った。祟りは女性相手にも失ウノダ。イルは嘆イタ。狂乱シタ。そして錯覚シタ。
「……イル。」
イルはナクを殺シタ。ナクがアルを失ッタンダ。彼女は狂ッテイタ。
その後、アルは、首を吊った、状態で、見ツカッタ。
祟リ、デハナイ。
アルは、イルとの、結婚を恐れ、拒ンデイタ。
イルは、ナクを、殺シタ。
自らの、手で、愛する人を、殺シタ。
イルは、もう誰も、愛セナイ。誰から、も、愛サレ、ナイ。
ソ、レ、ガ、タ、タ、リ。
夫失う、夫失う
夫、失ゥ、夫、失ウ。
夫失夫失夫失ノ夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失ノ夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失ノ夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失ノ夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失ノ夫失夫失夫失夫失夫失ノ夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失ノ夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失夫失オットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオットウシナウオット
……私ニハ知ッタコッチャアリマセン。
【あとがき】
怖い話……なのか?これは?
[短編小説]托卵の旅々〜家出少女ククースの旅物語”SS集”〜 ash*ash @ashashireina
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