AI。またの名を再生成された神。


 AIがあらゆる分野で人を超えていった時代。
 不眠不休で進化を続け、いがみ合うこともなく最適解を出し続ける「彼ら」。
 そんな時代に暮らすAIプログラマーの生活は、すべてが円滑に進んでいた。



 この作品は分かりやすい。

 AIが日常の隅々まで広まった世界が書けているという点もそうなのであるが、
 何かを(詳細な仕組みは知らないが)信奉し、従っていく様子と言うのは、昔の「神」の権限……聖職者が高位の立場になっていた時代と似たものを感じるのである。

 試しに、本文の「AI」をすべて「神」に置き換えてみればいい。
 どうして、信仰があれだけの影響力を持ちえたのかが分かるだろう。

 神がいつも傍におられるのと同じように、AIもまた、人々に絶え間なく「眼差し」を向け続ける……