第6話 side透
「違うよ。
私も大好き!!」
その言葉を聞いた瞬間に俺の今までの苦労が報われて幸せな気持ちになった。
彼女、成瀬 澪は1度、目があったら惚れるほど美人で性格も明るくて社交的でクラスの人気者だった。そんな彼女に俺も一目惚れしていた。ある日、澪は先輩に呼び出されていた。その先輩は悪い噂は聞かなかったから1対1でも大丈夫だろ。そう過信していた。
「?」
たまたま用事があって滅多に来ない空き教室の前を通り過ぎると声がする。俺は通り過ぎようとしたが、
「ヤダ!先輩!」
聞き覚えのある声に立ち止まる。そして聞き耳を立てる。明らかに抵抗している澪の声と卑猥な音。俺はゆっくり扉を少しだけ開けると澪が襲われていた。俺は静かに走った。本当は俺が助けに行きたいがこんなよく知らない男が来ても怖いだろ。そう思って教室へ行く。
「君!成瀬さんの友達だよな!」
たまたま教室へ行くと、澪と遊ぶ約束をして待っていた茜さんが居た。
「ええ、そうだけど、どうしたの?」
「成瀬さんが!先輩に犯されてて!」
俺の緊迫した状況に冗談とは思わなかったみたいだ。
「そうなの!?分かった今行く!あなたも着いてきて!」
2人で走って空き教室に着いた。
「開けるわよ。」
「ああ。」
ガラッと開けると上半身が裸の澪と驚いてる先輩がいた。
「な、何でお前たちがここに!?」
「そっちこそ何してんのよ!」
「…茜…。」
茜さんの顔を見て安心した澪は俺の顔を見る前に気絶してしまった。その後は先生を呼んでその先輩は逮捕された。ただ、問題はその後だ。
「日比谷、ちょっといいか?」
あまり話したことがないが、確か澪の友達の男に声をかけられた。ここで俺は衝撃なことを聞く。
「なあ、日比谷、この間、澪を先輩から助けたのお前だろ?」
知ってるのか。でもどうして聞くんだろう?
「ああ、そうだ。それが?」
「なんで邪魔したんだよ!」
予想しなかった言葉に固まる。邪魔?
「…邪魔って?」
「もう少し遅かったら俺が澪を助けて澪も惚れて恋人になれたのにな。」
遅かったら?もしかして、
「お前が今回の事件を仕組んだのか!?」
まさかの黒幕が居た。
「まあ、少し『澪は素直になれないが先輩が好き』って言い聞かせたのと場所の提供をしただけだ。
せっかく上手く行きそうだったのに邪魔して!」
ふざけんな!澪がどんだけ辛かったか!それを知っても尚、知らないフリしてそばに居るのか!?俺は手を握る。
「まあ。終わったのは仕方ない。だけど、これからは絶対邪魔すんなよ?」
そう言って出ていった男は颯太と言って澪の親友だと後日知った。
それから俺は澪に惚れてもらうために颯太みたいな汚い手は使わず澪のタイプになった。
ベタベタ触ってくる女たちは嫌だった。でも澪の好みの通りになるために髪を切ったり、清潔感を大事にしたり、皆に優しく接したり頑張ったよ。それでも澪はあの事件、男がダメになり数人の友達以外見なくなった。何とか俺に気づいて欲しい!そんなある日、澪が電車で痴漢されてる所に出会った。俺は勇気をだして澪を助けに行った。
「お前、邪魔するなって言ったよな?」
今、数日前から澪と付き合い始めた。案の定、周りの人たちはうるさいし、この颯太もしつこい。
「邪魔したつもりはなかったが悪かったな。お前より俺を選んだんだよ。澪は!」
颯太は反論出来ないから唇を噛み締めてる。
「透ー?」
澪に呼ばれたから俺は立ち去る。
「残念だったな。もうこの事で話しかけてくるな。」
俺は澪の元へと向かった。
実はベイベリーな彼 桜の一夜 @sakura_itiyo
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