最終話

「——ひゃあぁ!めっちゃ初心い!萌える!」

 紫苑は瀬名から恋バナを聞き終えると、その初々しさに思わず、叫んでしまった。


 紫苑自身、年頃というだけあって、恋愛がテーマの小説やら映画は一通り嗜んできたけれど、こんなに甘いものは初めてだ。それも親友のと言うのだから尚更のこと甘く感じてしまう。


「——それでね、次の日曜日に遥くんとデートするんだ」

「えーなにそれ、甘すぎじゃん。いいなぁ私もそんな恋がしたい……」

 何の気なしにそんな願望を口にすれば、瀬名が心底驚いたように顔を向ける。

「なに言ってるの!紫苑ちゃんなんて、この間告白されてたよね⁉︎それこそ、引く手数多なのに、まだ誰とも付き合ったことないなんて信じられない!」


 そんな可愛い親友の反応に、紫苑は苦い顔をする。

「あのねぇ、瀬名ちゃん。もちろん好きになったりとかはあるけれど……でもね、私は本気で好きになった人と、結婚を前提にお付き合いしたいんだわ」

「うわぁぁ、ハードル高い。紫苑ちゃんって結構、恋愛に厳しいよね」

「しょうがないじゃん。てか、私のことはもーいーのっ!今日は瀬名の初恋成就のお祝いなんだから。さ、歌お歌お!」


 と言ってテーブルの上に置かれたタブレットをさっと手にし、適当に歌えそうな流行りの曲を選ぶ。

 すると、直ぐにカラオケ風にアレンジされたメロディが流れ出すので、側にあったマイクをひっつかむ。

 紫苑は「あ〜!逃げた〜」と言ってくる親友を無視して歌い出したのであった。


(私に恋はまだ早いからね……でもきっといつか私も素敵なひとに出会えたらいいな)






 ——どこまでも夢見る乙女たちの恋愛議事録に終わりはないのだった。





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 あとがき


 こんにちは、もしくは初めまして。鍛冶原アオキです。

 ここまで読んでくれたということは、拙作を楽しんでいただけたでしょうか?

 息抜きに書いてみた作品なので、設定などは特に詰めていません。

 ですが一応、登場人物だけ補足を。


 主人公は原さんこと、原瀬名はら せなちゃん。

 彼女は食べ歩きが趣味で、一つ下の妹とよく食べ歩いています。シャイな子なので高校一年生の時は友達作りに四苦八苦していました。


 そしてこの度、瀬名の彼氏になったのが北条遥ほうじょう はるか先輩。

 瀬名の回想シーン(7話)で彼が怯えてるようだったのは、恋愛経験が少ないからが主な理由です。趣味はギター。意外と音楽もできるタイプなんです。


 最初と最後に出てきたのが、瀬名の親友である藤井紫苑ふじい しおん

 話の中では、全く描写していないのですが、紫苑ちゃんは清楚系美人。部活は陸上部で長距離走の選手です。趣味はアニ◯イトで少年漫画のグッズを買うこと。


 途中にちらっと出てきたのが大森沙絢おおもり さあや

 髪は短めで、男の子に間違われやすいけれど、頼りになるみんなのお姉さん的存在です。シャイな瀬名ちゃんでも話しかけやすいタイプの性格。趣味は古本集め。


 もしかしたら今後、別の作品に名前が出てくるかもしれません。

 どうぞ、可愛がってあげてください。


 なんだか長くなってしまいました……。もし、ご要望があれば上記メンバーのお話を書くかもしれません。その場合は応援コメントにてお知らせ下さい。



 最後に今一度、この作品をあとがき含めここまで読んでくださりありがとうございました。






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百年目に咲く百合の花 鍛治原アオキ @kajiwarasan

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