総理大臣、ゴーレムハウスに来るってよ

今、僕は物凄く緊張している。


何故かって?


...........目の前に、モノホンの総理大臣がいるからに決まってるだろ!!


てか、何で、総理大臣が我が家にいるんだよ!?


大鳳「いや〜。このクッキーは美味しいね。どこの店のものだい?」

朝陽「じ、自分で作りました」

大鳳「ほぅ!!それは凄いね!!」


...........何か、意外とフレンドリーだな。


真凜「あの..........私達、何かしました?」


勇気を出したのか、総理大臣に対し、そう言うと真凜。


すると............それを聞いた総理大臣は、ニコリと笑った後


大鳳「したさ。だからこそ、僕はここに来たんだ」


と言った。


朝陽「ぐ、具体的にはどういう.....?」

大鳳「ほら、この前、ゴブリン達から女の子を助けただろう?その子の代わりに、お礼を言いに来たのさ」

朝陽「女の子.......?」


確かに、柚子さんは助けたけど............それと総理大臣に、何の関係があるんだろう?


ゴー太『ゴー太、柚子助けた。それと関係、ある?』

大鳳「あるとも。だって...........柚子は、だからね」

「「え?」」


娘って............あの柚子さんが!?総理大臣の娘ぇ!?


嘘ぉ!?


大鳳「あ、それから..........僕のことは、大鳳さんって呼んでくれ」

朝陽「えぇ!?い、いいんですか!?」

大鳳「別に、総理大臣の名を呼んではいけないという法律は無いからね」

真凜「懐が深すぎ!!」


大鳳さんの発言に対し、そう言う真凜。


..........うん、その気持ちはすごく分かる。


ゴー太『オートリ、柚子、親子?』

大鳳「あぁ、そうだよ」

ゴー太『でも、何で、苗字、違う?』

真凜「それは私も思いました!!」


ゴー太と真凜がそう言うと..........大鳳さんは少しだけ微笑んだ後、こう言った。


大鳳「今の私は総理大臣。そして、柚子は配信者............この言葉の意味が分かるかい?」


............なるほど、そういうことか。


朝陽「...........つまり、親子関係がバレたら、柚子さんに危険が迫るってことですか?」

大鳳「そういうこと」

真凜「あ!!だから、柚子さんの苗字が大鳳じゃないんですね!!」


大鳳さんの言葉に、納得の声を上げる真凜。


それを見た大鳳さんは、続け様にこう言った。


大鳳「...........昔、柚子が誘拐されかけたことがあってね。それ以降、娘には、妻の苗字を名乗るようにしたんだ」

朝陽「誘拐.......」

大鳳「だから、君達が柚子を助けた時は、ホッとした気持ちになったんだよ」


そう言った後、紅茶を一口飲む大鳳さん。


大鳳「改めて、娘を助けてくれてありがとう」


そんなことを言った後、大鳳さんは..........僕たちに対し、深々と頭を下げた。


ゴー太『ゴー太、人助け、しただけ』

大鳳「ふふっ...........そうか」


ゴー太がそう言うと、再び紅茶を一口飲んだのだった。


大鳳「ところで.....このゴーレムは、君達の物で間違いないね?」

朝陽「は、はい!!亡くなった両親が残してくれた、大切な家族です!!」

真凜「あと、めちゃくちゃ強いんです!!」


自慢げに、そう言う僕と真凜。


それを聞いた大鳳さんは、しばらく考えた後...........こう尋ねてきた。


大鳳「君達のご両親は、ゴーレム職人なのかい?」


ゴーレム職人。


それは、ゴーレムを作るのに特化した職業で、職人一人一人が作るゴーレムは千差万別&個性豊かな物ばかりなのだ。


あと、ゴーレム製造をメインに行う会社もあったっけ。


朝陽「いいえ。僕達の両親はゴーレムマスターじゃなくて、ゴーレムマスターなのは、祖父の方です」

大鳳「...........なるほど、君達のお祖父さんがゴー太くんを作ったのか」

真凜「何か、元々は、お父さんとお母さんの新居として、作ったらしいんですけど...........目立ちすぎるとか何とかで、結局住むことはなかったっぽいですけどね」


そう。


そもそも、ゴー太は、両親の新居用の家として建てられた経緯を持っていて、結局、両親はゴー太の中で暮らすことはなかったものの.........万が一のことを考えて、遺していたらしい。


大鳳「..........そのお祖父さんは?」

朝陽「.....何年か前に亡くなりました」


僕がそう言うと、大鳳さんは


大鳳「そうか.......」


と、言葉を漏らした。


すると、そんな大鳳さんのところに、ミニゴー太達が現れた。


ミニゴー太1『朝陽、この人、誰?』

朝陽「この人は大鳳さん。僕達の暮らす国のトップ..........要は、偉い人だよ」

ミニゴー太2『偉い人?』

ミニゴー太3『ナス食べる〜?』


大鳳さんに対し、そう言うミニゴー太達。


一方、大鳳さんはと言うと..........


大鳳「ほほぅ!!これは予想外だ!!」


ミニゴー太達を見つめながら、大興奮していた。


大鳳「まさか、ゴーレムの中に小さなゴーレムがいるとは..........ここは、まさにビックリ箱だな!!」

ゴー太『ゴー太、ビックリ箱、じゃない』

大鳳「うむ!!こんなに面白いゴーレムは初めてだ!!」


そう言った後、大鳳さんは..........ミニゴー太達を、キラキラとした目で見つめていた。


真凜「..........何か、大鳳さんがいい人で良かったね」

朝陽「だね」


その後、大鳳さんとメール交換をして、ゴー太の中で収穫した野菜を土産に、大鳳さんは帰って行ったのだった。

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ゴーレム暮らしの田中さん〜マイホーム?ゴーレムですが何か?〜 @marumarumarumori

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