配信者とゴーレムハウス

ゴー太『女の子、この近く、いる』

朝陽「本当か!!ゴー太!!」

ゴー太『ゴー太、嘘つかない』



例の女の子を発見したのか、そう言うゴー太。


真凜「ゴー太、その女の子を襲ってるモンスターは!?」

ゴー太『ゴブリン』

真凜「ゴブリン!?」


ゴブリンって..........集団で人間を、特に、女を襲う、あの緑色のモンスターか!?


真凜「だったら、尚更助けなきゃ!!」

朝陽「ゴー太!!とりあえず、ゴブリンを倒してくれ!!」

ゴー太『分かった。ゴー太、ゴブリン、倒す』


そう言った直後、ゴブリン達だと思われる悲鳴が聞こえた..........かと思えば


ゴー太『ゴー太、ゴブリン、倒した』


という、ゴー太の声が聞こえたのだった。


朝陽「相変わらず、ゴー太は強いな」

ゴー太『ゴー太、女の子、守っただけ』

真凜「そーゆーとこだぞ、ゴーちゃん」


ニヤニヤと笑いながら、そう言う真凜。


朝陽「ゴー太、女の子の様子はどうだ?」

ゴー太『女の子、無事、だけど、怪我してる』


女の子が..........怪我!?


真凜「ゴーちゃん!!ミニゴーちゃん達に、怪我人がいるって伝えて!!」

ゴー太『分かった』


真凜がそう言った後、僕達は、ゴー太の中から外に出て、女の子の方へ向かった。


その女の子は、黒髪のサイドテールをしていて、膝から、血が出ていて、その子の隣には、何故か、ドローンが飛んでいた。


...........もしかして、この子、配信者なのかな?


柚子「あ.........あ...」

朝陽「大丈夫ですか?」


腰を抜けているのか、呆然としている女の子に対し、そう話しかける僕。


柚子「あ、あなたは?」

朝陽「僕は田中朝陽。こっちは妹の真凜。そして、目の前にあるゴーレムがゴー太だ」

真凜「よろしく!!」

ゴー太『ゴー太。朝陽と真凜、家族』


僕達がそう言うと、女の子は目を見開き


柚子「ご、ゴーレムが喋った!?」


と、驚いていた。


...........そんなに驚くことか?


柚子「あ!!カメラのことを忘れてた!!」


そう言うと、女の子はスマホを操作して、ドローンの電源を切ったのだった。


柚子「ふぅ、これでよし」

真凜「ちょっと待って!?というか、この人、怪我してるじゃん!!」

柚子「あ!?どうりで足がジンジン痛かったんだ..........」


なるほど、パニクって、怪我していることを自覚してなかったのか。


そう思っていた時、ゴー太の中から、小さなゴーレム..........ミニゴー太達が現れた。


ミニゴー太1「怪我人、いた!!」

ミニゴー太2「女の子、膝、怪我してる」

ミニゴー太3「ミニゴー太、怪我、治す!!」


そう言うと、ミニゴー太達は、女の子を軽々と持ち上げ、ゴーレムハウスへと連れて行った。


柚子「な、何これ..........!?」


そして、その女の子本人は、ゴー太内にある、治療室にいた。


ミニゴー太1『膝、痛くない?』


ミニゴー太がそう尋ねると、女の子はハッとした表情で


柚子「あれ..........膝が痛くない!?」


と言った。


朝陽「ま、ミニゴー太達は何でもできるからな」

ミニゴー太3『ミニゴー太、偉い?』

真凜「うん!!ミニゴーちゃんは偉い!!」


そう言うと、ミニゴー太たちの頭を撫でる真凜。


柚子「あ、あの..........助けてくれて、ありがとうございます」

朝陽「僕達は何もしてないよ。むしろ、お礼なら、ゴー太に言ってくれ」


僕がそう言うと、女の子は納得したような顔になった後、ゴー太に向けて、こう言った。


柚子「ありがとう、ゴー太さん」

ゴー太『ゴー太、悪いゴブリン、倒しただけ』

柚子「悪いゴブリン..........かぁ」


ゴー太の言葉を聞き、手をギュッと握る女の子。


真凜「ところで、あなたの名前は?」

柚子「私の名前ですか?私の名前は霧島柚子。一応、配信者をやっています」


そう言うと、深々と頭を下げる女の子..........もとい、柚子さん。


真凜「だから、近くにドローンがあったんだ」

朝陽「...........もしかして、その撮影でゴブリンと戦ってたのか?」

柚子「えぇ、今日は、ゴブリン退治をする予定だったんですが、そのゴブリンが強くて..........」


少し、下を向きながら、そう言う柚子さん。


朝陽「ひょっとして..........柚子さんって、ハンターなんですか?」


ハンター。


それは、危険なモンスターを狩ることをメインに行う職業で、ファンタジー世界と化した、今の時代では、サラリーマン的な扱いをされているけど...........たまに、ハンターを副業にしたり、ハンターをやりながら、配信をしている人もいるのだ。


柚子「はい。そうですよ」

真凜「それじゃあ..........私達、配信の邪魔をしちゃったのかな?」


柚子さんに対し、真凜がそう尋ねると


柚子「いえいえ!!むしろ、あの状況じゃあ仕方ないですよ」


柚子さんは、慌てた様子でそう言うのだった。


真凜「柚子さん.......」

柚子「...........でも、私って馬鹿ですよね。ゴブリン相手に、勝てると思ってんですから」


そう言った後、柚子さんは自分を嘲るかのように、自嘲の笑みを浮かべた。


すると、その言葉に真っ先に反応したのか、ゴー太はこう言った。


ゴー太『柚子、悪いことしてない。何で、ダメダメ言うの?』

柚子「え..........」


ゴー太の言葉に対し、目を見開く柚子さん。


真凜「そうだよ!!柚子さんは悪くない!!悪いのは、あのゴブリン達なんだから!!」

柚子「ゴー太さん、真凜さん.......」

朝陽「そうそう。こう言う時は、ご飯を食べて、悪いことを忘れるのが一番!!」


僕達がそう言うと、柚子の目は涙に溢れ....


柚子「ありがとう.....ございます..........」


と言った。


そんなわけで、今夜の夕食は、久々に賑やかになったのは、言うまでもない。

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